[黒い奴]

3ヶ月前、学年末試験の頃の話を聞いてくださいな

試験期間中って大体は昼過ぎくらいにテストが終わって帰宅できるもので
普段は部活動で夜に帰宅のオイラも日のある内に我が家へ戻り、一夜漬けに備えて昼寝をしていたわけです
オイラの部屋はロフトベッド(一階は机で二階がベッドね)なので、ハシゴ上ってそのまま横になった
目覚ましを、夕飯に呼ばれるであろう時間にセットしてすぐに眠りについて・・・

と、眼が覚めた。まだ日があった。
ずいぶんと寝相が悪かったのか、枕の方に足を投げ出し、頭は蹴飛ばした布団に乗せた格好
寝る前とは完全に逆向きに眠っていたんですね
窓から差し込む光は昼寝を始めた時とさほどかわらなかったから、とりあえず時計を見ようと体を動かそうとした
で、ここで金縛りになってるのき気がついたわけです
とは言え、洒落怖とかをよく覗いているオイラ、あまり怖くならずに「ウホ!」とか大興奮
金縛りとか、普通にあれだよ、脳みそは覚醒、体が動かないだけ、と意外に冷静に判断してた
すると、待ってました!
いつも鍵を閉め忘れる窓があき、ベランダからゆっくりと部屋に入ってくる黒い奴
「すげー!こいつはリアルだ!」
と大喜びだったオイラも馬鹿だなぁ、と今では思うよ
そいつはベッドへの梯子を迷わずに登ってくると、それ以上は近づいてこなかった
輪郭はハッキリとしない黒っぽい霧みたいなやつ、漫画のARMSにでる「ハンプティ・ダンプティ」みたいな感じ
一応、こっちを見ているのだけはわかった。眼っぽいのがあったし
しばらく睨み合いが続き、いつしかそいつは消え、体が動くようになったわけだ
一日目はこれでおしまい〜

次の日も、もちろんのこと試験だった
民事執行法オワタ…とか落ち込みながらの帰宅
この日も例のごとくに一夜漬けの予定、なので自室に入るなり、
目覚ましをセットして、愛しのベッドへ倒れこみ…

と、眼が覚めた。また日があった
また、寝相が悪かったのか、枕の方に足を投げ出し、頭は蹴飛ばした布団に乗せた格好だ
また、寝る前とは完全に逆向きに眠っていた
また、金縛りになってるのき気がついた
さすがに二日連続となると、笑って楽観視できないオイラがいた
前日のように窓を見る。今日はぬかりなく鍵をしめた窓、ベランダにはまた黒い奴がいた
「…またかよ」と正直なところ、前日の余裕と興奮はなかった
むしろ、二日続く同じような金縛りにビビリはじめていた

窓があいた。これはやばかった!何のために鍵をしめたんだよ!
またベランダからゆっくりと部屋に入ってくる黒い奴
ベッドへの梯子を迷わずに登ってくると、それ以上は近づいてこない
また睨み合いが続いた。近づいてこないのが救いだった
この時のオイラはどうしていいのかわからずに、うろ覚えの般若心経を唱えていた
しばらくすると、その黒い奴は消えていった
開いた窓と、完全にビビリになったオイラだけが残されたまま
二日目、終了

続く