[呪いの運び手]

どうも、ブードゥー報告します。
長いしオチないし、読みたくない人はスルー推奨。
色々端折ったから、意味不明なところがあったら突っ込んでくれ。

身の回りで怪奇現象が起こるようになり、早急にお払いしろと霊能者に言われた俺。
呪われ仲間のAにも「一緒にお払いしる」と持ちかけたんだが、
なんやかんやと理由つけて全然応じようとしないんだ。
せっかく作った人型もある日玄関から出てっちまって、落ち着かない日々が続いた。
だが弟妹にも協力要請し、ようやくAの拉致成功。
嫁知り合いの霊能者さんも呼んで、実家で話し合いの席を設けた。

観念したAの説明によると、
呪いの媒体である人形はAが回収していた。
関わりを拒否する神主さんを説き伏せ、呪いを封じてもらったが、
神主さんの腕前では半分封じるのがやっとだった。
人形を封印した箱はAが自室で保管していたが、
大学入って一人暮らしするにあたり、それを持ってくのはどうしても怖くて、
クローゼットの奥深くに隠して残して行った。

当然霊能者さんが「その人形拝見」って流れになったんだけど、
なんと家政婦のおばちゃんが、先日燃えるゴミに出しちまったらしい。
(そりゃあ怪奇現象も起こるわなwww)
もちろん笑いごとではなく、これを聞いたAがマジギレして暴走。
なぜか乱闘まで始まり、話し合いどころではなくなった。
あまりの急展開に( ゚д゚)ポカーン状態の霊能者さんが、
ひとまず家のゴタゴタを治めて、落ち着いてから対処しましょうと、その日は解散。

だが数日の間に、Aが恐喝に遭うわ、霊能者さんちが放火されボヤ出すわ、
そして俺は、自分でも記憶がないんだが、なんか自殺未遂したらしい。
→俺病気扱いでお仕事お休みヽ(´ー`)ノ
霊能者さんはビビっちゃって、別の人紹介して自分は手を引いてしまった。

後日霊能者さん2が説明してくれたのは、大体以下のようなこと。
・中途半端に封じられ「呪いの運び手」は相当苛立っている
・呪いの力は強く、自分には運び手を「追い払う」(呪い返しとは違うらしい)のが精一杯
・古い呪いなので、相手が呪いをかけたこと自体忘れている可能性もあり、
 主人に存在を忘れられた運び手は、追い払ってもすぐ戻ってくる
・そうなると、前みたいになんらかの介入がない限り、
 フルパワーの呪いを一人で受け止めることになる

戻ってくるかもってのが気になったが、話し合った結果、
「一か八かやってもらうか」という結論に達した。
霊能者2さんは俺と、念のためAにも、木製のお札みたいのくれた。

「追い払う」儀式の前に、まず風呂に入れられた。
香りがつくのはいけないらしいので石鹸等は使わず、この季節に水風呂。
儀式の最中にも、お約束の不可解な現象の出血大サービスだ。
誰も触ってないのにふすまが外れて倒れるし、ラップ音もしたし、
個人的に一番ビビったのは、目の前で蝋燭がすごい勢いで燃えたこと。
蝋ががんがん溶けて、10分位で3本燃え尽きた。
霊能者さんはいい感じの人で、料金も取られなかったんだが、
あれで金取られてたら、盛大なドッキリじゃないかと疑うとこだ。

寝るときは一番外から隔絶とした部屋で、お札はドアに立てかけておけとの指示。
嫁と布団に入ったのは深夜過ぎだったかな。本当は寝るのは怖かったんだけど、
酒が入ったせいか耐えられないくらいの眠気に襲われて、我慢できなかった。

眠ってからどれ位たった頃か、部屋の外から聞こえてくる音で目が覚めた。
ぺた、ぺた、という足音に交じって、童謡?っぽい明るい歌声がする。
ゆっくりと部屋に近づいてきて、ドアをノックしノブを回し、また遠ざかっていく。
嫁は全然起きてくれず、息子もすやすや眠っている。

それは一定のパターンを持って動いているようだった。
まず、ふーんふーんふふふ・・・て感じで鼻歌?歌いながら近づいてきて、
ドアをゆっくりドン、ドン、ドン、ドンと4回ノックし、
ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャとノブを4回回す。
そしてふーんふんふふふ・・・と遠ざかっていき、
廊下を曲がって突き当りまで行くと、また同じように戻ってくる。
ふーんふーんふふふ・・・、ドン×4、ガチャ×4、ふーんふー(ry
ていうのが十数分は続いた気がする。
どうも俺の体験は字で読むと愉快なのだが、実際経験すると恐怖だ。

さらにドアガチャされる度、焦げたみたいにお札の表面が黒く変色していき、
部屋中に甘ったるい香りが充満しだした。
あえて例えるなら、プリン作ってる時の台所みたいな匂いかな。
そういえば、Aの死んだ母さんはよくおやつにプリン作ってくれた。

お札がほぼ真っ黒になった頃、ドアガチャされた拍子に部屋の鍵が開いた。
どっか逃げようにも地下室だし、外に通じるドアは一つだけで、
結局どこにも逃げられない俺は、硬直してドアを見つめるしかなかった。
だが奴はなぜかドアを開けず、ふーんふーん・・・と再度遠ざかっていく。

続く