[偶然]
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そして俺は遺書の事を後で知ることになった。
これはDから聞いたので本当かどうかは分からないが、
その紙にはCの名前がぎっしりと書かれ最後の行は「駆除…皆ごめん」
で閉めくくられておりまた、Aの顔は変形しグチャグチャに歪んでいたらしい。
Cの名前だけ?違和感を持った俺らはCが何か知っているに違いないとCを問い詰め、
話を聞いた。
そして、俺たちはAとCだけが知る秘密を知ることに・・・。
Aは両親の離婚で引っ越してきたと俺らは聞かされていたが実は違っていた。
Aの母は亡くなっていたらしく、理由はよく分からないが、
霊園池のほとりにある桜の木で首を吊っていたとか。その第一発見者がAとCだった。
AとCは幼馴染で仲がよく、たまたま釣りに行った霊園池で見てしまった。
発狂したAの母親が首を吊る一連の行為を・・・。Cはあまりに突然の事で傍観するだけで、
隣にいたAは発狂したかのように突然笑い出し叫びだしたという。
それから数日後、Aは学校に来なくなり、Cもトラウマになっていたらしく、
Cは胸に抱える不安を取り除くように何故かもう一度、一人でその霊園池に行った。
その時見た光景・・・Aが一人、木に話しかけ狂ったように叫びだし笑っていたという。その光景が目に焼きついたCは軽い精神病にかかり、引きこもりになったが、Cの両親がその出来事を察知してか、Cは俺らの地区に引っ越してきたらしい。
そんな話を聞いた俺らは、本当に後悔した。俺はAが大好きだった。すごくイイやつで、ひょうきん者だった。そんなAの事を一つも分かっていなかったばかりか、助けてもやれなかったからだ。
そんな事件があった数カ月後、
俺らは中学を卒業し俺とBは隣町の高校へDはY区の高校へ通っていた。
Cは……
Cは…もういない。
同年五月六日、自宅のマンションから飛び降りた。
原因は分からない。
意味分からないですよね。俺も分からないです。Aが何故、怖い話であの話を持出したのかも分からないです。全て実話です。
これは決して幽霊がどうたらって話しじゃないんです。
そんなじゃないんです。
全て偶然。たまたま起った事です。偶然です。AもAの伯父もCも。
偶然です。
彼らの命日が誕生日である事も。