[偶然]
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静まりかえった暗い小屋。俺は空気を変えようと、とりあえずタバコに火
をつけた。その火の明りで一瞬、正面に座るAの顔が見えた。
Aは小屋の外に何かを見つけたようなハッとした顔をしていた。
俺「おいA!もう怖がらせんでいいて。止めろ」
「外、見てビビらせようとすんな」
A「う、うん。別に何も見えてねぇし(笑)」
見えてないって何だよ・・・
もう誰も喋らない。喋れない。時刻は午前2時を回る。
俺はAの話が恐すぎてずっと引きづっていた。ただでさえ小心者なのに・・・話しがリアる過ぎて怖かった。小屋にはもう居たくなかった。外にも出たくなかった。
もう帰りたい。俺は変なもん見ないようにと目を閉じて考えないようにしてた……
俺はいつの間にか眠っていた。
(・・・キ)
(パキ・・) (バキバキ・・)
変な音が聞こえる・・・
怖くて敏感になっていた俺はすぐに目が覚めた。
(バキ…)
外から聞こえる。木の枝が折れてるような音
背筋がゾクーっとした俺は横にいるBを起こした。
俺 「おいちゃ!起きれ!」
B 「…何よ?、もう」
俺 「おい!外からバキバキ聞こえるて。起きろ」
B 「もう…びびり過ぎ」B「何も聞こえんや…ん」
(バキ)
B「!? おい、・・・今何の音?」
B「ちょいヤバイて!今の何の音よ?」
俺「分からんけど、木が折れる音じゃね?」
二人のやり取りにDも目が覚めていた。
D「…ちょい待て!お前ら喋んな!黙れ!」
バキバキ…
確かに音が聞こえる。静まりかえった山では、響くように…
俺の膝ガクガク。とりあえず一服して気を落ち着かせる。
その時、ある事に気づいてしまったが、あえて言わなかった。
何か怖くなったからだ。
B「ヤバイ!逃げるぞ」
D「ソッコー!逃げよ」
B「AとC起こして!」
D「え!?あっ?」
B「は?おらんやん! 何処行った!?」
そうAとCがいない事に気づいたんだ。
俺「…あいつらの仕業?」
D「何で!?何の為よ」
とりあえず俺らは外へ出て絶景スポットがある広い原っぱまで突っ走って逃げた。
俺「とりあえず、AとCどうするん?」
D「待っとこう」
俺らは一服しながら待った
20分後…向こうから誰か来た。Cだ。
俺「何処行ってたん!?」C「う、うん…小便」
C「小屋に戻ったら誰もおらんかったから…捜したわ」
B「おいC!Aは?」
C「一緒に小便してたよ」
D「っつかバキバキ聞こえたやろ?」
C「イヤ・・・聞いてない」
B「どんだけよお前。でAは?」
C「…」
B「?イヤ、Aは?って・・?」
C「・・・ん?」
D「は?Aじゃボケ!ふざけんな」
C「…知らん」
B「あ?意味分からんて、何処やAは?」
D「お前Aと小便しよったんやろうが」
C「…」
D「お前Aと小便しよったて言ったろうが」
C「…言ってない」
B「え?ウザイよ。オメー言ったろう?」
C「あ、あぁ…Aね、あいつは先に小屋に戻るって言ってたよ」
様子が変。何だCの意味不明な発言は?ともかく俺らは二人づつに別れてAを捜すハメになった。時刻は午前4時を回る。
俺「あのガキャ!マヂいらいらするわ!何処おるんや。気味悪りぃのに…」
C「…」
俺「っつかお前、何か知っとんかよ」
C「…知らんて」
俺「何?お前…喧嘩売っとん?」
C「…」
俺「あっ!分かった!ドッキリやろ?」
「もう。ウゼー…ビビらせようとしとんやろ」
C「…ごめん」
C「あのさ…実はさ、俺さAと小便してないんよね」
俺「は?どういう事?」「ちょ止めてや…怖いし」「キレるよ?」
C「…ごめん、全部話すわ…」
Cは話しだした。
実は小屋の中で皆眠ってた時、Aが小屋の外に出て行くのを見たらしい。
Cは気になってAの後をついていった。
Aはボロボロの鳥居をくぐり、神社の前ですぐに止まった。
すると神社前でAは何か、誰かに話しかけるように手を合わせて喋っていたらしい。
ニヤニヤと笑いながら…次にAは神社の横にある木の枝を折りだした。
手頃な棒を捜すように…折っては捨て折っては捨て。
調度いい長さの棒きれになったのだろうか…
Aは折るのを止め、次にポケットから数枚の紙切れをだし、棒に貼付けていった。