[従兄弟]

ちょっとかなり長文になるし、洒落にならないって程の描写じゃないんだけど、最近体験した話を・・

俺は母方の実家で婆ちゃんと二人暮らしです。こちらに来て3年近くなります。それを踏まえた上での話になります。

一昨日従兄弟が遊びに来た。
俺の母親の弟の息子でこちらの方に住んでいて珠に遊びに来る。
彼は神奈川の海関係のテーマパークで、水族館の飼育員をしている。そして、何度か精神を病んだ事がある。
理由は分からないがなぜかその仕事をする人にはそうした事が多いらしい。

俺がこちらに来た頃、丁度彼は鬱期のピークが来て、仕事を休んでいた。
一人暮らしをしていたアパートも引き払い、彼自身の実家に戻って療養していたらしい。幸い、ほぼ回復していた為、同じ市内に住む俺の所に遊びに来る事が多かった。

基本的には明るくて行動的な奴で、久々に会った時もほぼ不自然な部分はなく、仕事にも少しずつ復帰していたようだった。

彼との一番の共通の趣味が「怪談好き」・・特に稲川淳二のファンで何度か一緒にライブにも行った事がある。
それだけではなく、心霊スポット巡りなども好きらしく県内の心霊スポットを友人と回ったりもした事があるという

そして、実際に観たこともあるらしいのだ。

一頃、彼は国分寺に住んでいた。彼が住んでいたアパートには良く出ていたらしい。

更にこちらに戻って来てからも、住んでいたのは某有名お化けトンネルのすぐそばで、頻繁にそうしたモノを見たり聞いたりしていたという。そして、そこで精神を壊した。。

しかし、実家に戻った後は順調に回復し、仕事にも無事復帰したようだ。そして、家を出て新しく出来た彼女と同棲し始めたらしい。

その彼の様子がおかしいと祖母から聞いたのは二月ほど前だったろうか。

彼女が気付いて病院に連れて行き、診断をうけたらしいと、ばあちゃんが飯時に話して来た。

じゃ、まあ、ちょっと様子を伺ってみようとメールをして遊びに来るよう誘ってみた。お互いに休みがあった日に奴は来た。それが先月の事。

その時は取り立てて変わった所もなく、そうした事を直接聴くのも差し障りがあるし、普通に遊んで普通に帰っていった。で、一昨日、その彼が遊びに来た訳だ。
大体彼とはDVDを借りて見た後、夜は眠くなるまで話をするというのがお定まりだ。

先月は彼が好きだと言う「エイリアンVSプレデター」を観た。これ自体はまあまあだったのだが、彼が見終わった後「2」も見たいと言い出した、時間は午前0時30分頃。

個人的には別に見たいとは思わなかったが、余りにうるさく言うので仕方なく歩いて、片道20分くらいのビデオ屋まで行き「2」を借りて来た。結果は大味な内容。「レンタル代金+ビデオ屋に行った時間+鑑賞時間全てを返してくれ」と願いたくなるようなモノ。
しかも、それを見ている最中奴は「何でこんな映画作っちゃったんだろうな」と笑いながら言ってたが。お前が観たいっつったんだろ!しかも、こ奴は一回観てるというのだ。
全く呑気な話だと想ったがこの様子なら問題はないように見えた。

そんな訳で今日も俺らはレンタルショップに赴いた訳だ。

その道行き、奴はこういいやがった
「そういえばさ。俺、幽霊観ちゃったよ。女の幽霊・・」俺はそれを聞いた時はそんなに深く考えず「そっか、じゃあ夜ゆっくり聞かせてくれよ」言って、レンタルショップに入った。

そこで、稲川淳二の怖い話を含む数本借りて家に戻った俺達は仮眠をとる事にした。
俺は夜勤明けだったし、向こうも朝早かったらしいのだ。

仮眠明けて風呂やら飯やら食ってたら20時くらいになったろうか、とりあえずDVDを見始める。

それを観終わって少しテレビを観た後、近況を話した後、次を入れてを三回くらい繰り返した。

まだ稲川淳二のが一本残っているが疲れたので小休止しようと言ってDVDを止めた。時間は深夜2時近く、何だか随分静かな晩だ。

俺がまず切り出した「で、幽霊観たってのはいつの話よ?」俺が聴くと
「ああ、つい最近だよ」話を纏めるとこうだ。

彼は夜中に一人、テレビでパソコンの動画サイトの稲川淳二の動画を観てたという。そんなもん観てるからだというツッコミはこの際置く。
その時ふとテレビの上に目を向けるとそこに青白い女の顔がぼんやりと浮かんでいたという。

あれ?と思っているとだんだんそれがはっきり見えだして来た。そしてその顔がソファに横たわってる自分のところにす〜と飛んできて、自分の顔目掛けて進んできたままズボッと「突き抜けていった」という。

しかも、それだけではなく、日を置いて又やってきたらしい。その時は顔だけではなく全身が見えたという。

そして、やはり同じように彼のそばまでやってくると体を今度は体ごとズボッと突き抜けていったらしい。

続く