[廃屋に住むモノ]
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車を降りてから、ライトで照らしては、誰も踏み出さなかった一歩を仲間の一人が切り出しました。
「さて、行くか。」

一人を先頭に3人が続く感じで足を踏み入れます。もちろん俺が先頭ではなく、
先頭は、この話を持ち出した当事者です。

重い雰囲気のなか、建物に近づきドアに到達しました。結構あっさりと。
ですが、玄関という感じではありません。どうも裏口のようです。
そのドアにも木材が打ち込まれていました。×の感じで。よくアニメである台風対策みたいに。

「裏口だね、とりあえず一周しよう。」もうこの時点で、会話は成り立っていません。
ほぼ無言。あとは、「やばくね?」「こえ〜〜」ばかり。

窓のような場所はないまま、入れそうな場所もないまま玄関へ到達。
横にスライドさせるタイプの玄関ですが、こちらも封印してあります。
「何か貼ってある…。」と、貼り紙を手にしますが、残念ながら読み取れませんでした。

「入れるっていうのこっちじゃない?」
いつの間にか建物外周を先に進んでいた仲間の一人から声が上がった。

その場に行ってみると、窓に打ち込まれた木材が変な折れ方をして曇りガラスが割られ
建物内に入れるようになっています。大人が四つん這いで潜り込める感じです。

その穴?を前にどのくらい躊躇していたでしょう。すごく長く感じました。

「俺行くわ。」と当事者が切り出しました。目がすごく輝いて見えました。
おもちゃを与えた子供みたいでしたが、LEDのせいでしょう。
「まじで?」「もうよくね?」「無理だわ〜〜」と私も含めた3人はかなりつらい状況です。
ガラスや、危険物がないかをLEDで一通り照らしたあと、膝を地面に着きました。
俺は、つばが飲み込めないほどビビってました。

彼はLEDを先に建物内を照らし、「大丈夫そう。」「お前らも来いよ」
などと一人で仲間に声をかけながら、手から入りました。
曇りガラス越しにLEDの明かりもあり、侵入の確認は何となくわかります。


頭が入り、肩が入り、背中が入り、腰まで進んだところで彼の動きが止まりました。
・・・・・・・・・・・・・次の瞬間、一気に彼が飛び出してきました。
立ち上がれません。震えているのがこちらにもわかります。
「どうした????」
「やばい・・やばい、なんかいる。」
「うわ〜〜〜、」と彼を引きずるように、玄関前の正門から飛び出しました。

舗装された道路上で、街灯もあり空気が変わったのか、おれたちはその場で、
彼の尋問を開始しました。
「なんだよ。」「なにがいたの?」「まじで?」とたたみかけます。

「やばい、やばいわ・・・子供がいた。」
「え????まじでか?」
「いや、見てねぇけど、子供が走ったわ。部屋の奥を。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「最初、犬かなんかかと思ったけど、足音が奥の方からこっちに向かってきた…。」

キィ〜〜〜〜。

全員が音のほうを向くと、そこにはブランコが。誰も乗ってないのに揺れてる。
揺れてるなんてもんじゃない。間違いなくだれか乗ってる。誰もいないけど。

地蔵!!!
「うわ〜〜〜〜〜!!!!!!!」
その後道路を全力疾走で走り、車に乗って飛ぶように逃げてきました。
地蔵は、うちらが話していた真横に社に入って祀られていました。

その家をまっすぐ見つめるように置かれていました。

長文ですみません。

洒落にならないほど怖いです。

その後の彼の話だと、最初部屋の奥のほうをパタパタパタ・・、
そのあとこっちに向かってパタパタパタ・・・。
だそうです。


次の話

Part210
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