[作り話]
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話し終えて蝋燭の火を消すと、
2時を回っていて、1週して友人が新しい怖い話を始めた。
そうやって10個程度の怖い話を終え、
百物語風の怪談肝試しは終わり、
最後の蝋燭が消された。
だからと言って、漆黒の部屋で何かが起きたわけでもなく、
男女3人ずつの部屋でエロスな出来事が起きたわけでもない。
全員が節度を守り、理性を保って、
明け方まで眠い目をこすって起き続け、
俺はお目当ての子をどうにか送るという状況に漕ぎ着けた。
2人でタクシーに乗り、彼女の家の近くまで到着し、タクシーを降りる。
すると彼女が、
「少し話したい事があるから」
と言い出した。
俺は大きな期待で胸が跳ねたが、
彼女の話したい事は、俺が意図する事とは全く別だった。
しばらく押し黙ったままでいた彼女は、
「さっきの怖い話の事だけど・・・」
と切り出した。
俺は怖い話の事などすっかり忘れていたので、
拍子抜けして、
「ああ、それがどうしたの?」
などと聞き返した。
すると彼女は、
「あの話、嘘でしょ?」
と言ってきた。
実はさっきまで書き込んでいた話は、
9割が作り話だ。
ヤッちゃんの両親は健在だし、
お姉さんはちょっと変だけど元気だ。
廃屋があったのは本当だが、
そこで何かが起きたわけじゃない。
新聞紙の散乱する部屋があったが、
結局何も起きず、
現在は取り壊され、ただの空き家になっている。
だが、唯一つ本当のことがある。
それはヨシ君が猟銃で自殺したという事だ。
そして問題なのは、
何故彼女がその話が嘘だと見抜いたのかという事だ。
俺は動揺にながらも、
「なんで分かったの?
俺嘘つくの下手だからかなぁ?」
などと笑うと、彼女は真面目な顔で、
「あの話、二度としない方がいいよ」
と言う。
何か気迫のようなものに気圧されたのかも知れない。
俺が何も言えずにいると彼女は続ける。
「○○君(俺)が話している間ずっと、
○○君の後ろで『嘘つき。嘘つき』って言っている人がいたの。気づかなかった?
ちょっと太めで天然パーマの子。あれがヨシ君でしょ?
彼、怒ってたからもう二度と話さない方がいいよ」
俺は恐怖しながらも彼女の裏を取ろうと、
ヨシ君の特徴を聞いてみる。
が、彼女の話す特徴は、ヨシ君の特徴とピタリと合う。
メガネで、太めで、天パーで、
鼻の横に大きなホクロ、垂れ下がった目。
まだあったと思うが、
ヨシ君を直接知っていたという可能性を抜けば、
彼女の言う事が本当だと言う事になる。
もう春だから、もうすぐ1年になる。
それまで誰にもこの話は話さなかったのだが、
2chで書き込んでみた。
ヨシ君は怒っているだろうか?
俺の身に何か起きるのだろうか?
現在仕事も何もかもうまく行かず、
自暴自棄になって書き込んでみた。
何か起きたならそれはそれでもうどうでもいい。
死ぬんだったら、ありえない現象を見てから死にたい。
もうどうでもいい。
信じる信じないは任せるけど、
本当の話です。
何か起きたらここに書き込むよ。
書き込めたら。だけど。