[幸雄君]

ボクのクラスには山田君という人がいます。
彼はかなりのゲームマニアだと言われています。
山田君はとても変わった人です。
前の学期までは彼はとてもハンサムでした。
彼女もいたようですし、友達も沢山いました。
しかし冬休みが終わって彼が学校にやって来た時、みんな驚きました。
彼はブクブクに太っていて物凄い度の眼鏡をかけていたのです。
しかも物凄い悪臭を放っているのです。
唯一彼だと分る部分は・・・名札だけです。
勿論それからというもの、誰も彼に近づきませんでした。
彼女とも別れ友達もいなくなりました。
そう、彼は変わってしまったのです。

ある放課後、彼がボクに近づいてきました。
「ぶヒィぶひぃぃぃぃぃ。ウボィゆ・・幸雄君。き・・君はXboxを
も・・・持ってる、よね?ぶピィ」
「え?う・・・うん持ってるけど」
「ぶびゃゃゃゃゃゃゃゃゃ!!じゃ・・・じゃあ、なん・・・の
ゲーム・・ム持ってるの?」
「えっ・・・と格闘超人・・・」
「ぶひゃ!ぶひゃ!ぶひゃ!だっだせーーー!!!」
ボクはムッとしました。
格闘超人はボクの持ってる唯一のゲームです。
家族が居間に集まった時に、よく皆でワイワイ楽しみながらやるのが
面白かったのです。四人同時に出来るのが好きです。
ボクはいい返しました。
「格闘超人は面白いよ!なら君は何ゲームが楽しいって言うんだい」
彼は待ってましたとばかりに捲くし立てるように言いました。
「Xboxと言えばDOAXで決まりだよ!ブヒィ!スゴイ、スゴインダヨ!
水着なんだみんな水着なんだよ!ブヒィィィィィ!!
か・・・かすみぃーーーーー!!!ブヒィィィィィィィィィィ!!!
ボクは冬休み中DOAXをやりまくったんだ!!そして全水着コンプリート
したぜ!!!もうビンビンさ!!これこそ男のゲームだぜ!!
幸雄君もやるんだ!やってみろよ!!!」
彼の目は完全に逝っていました。
ボクは怖くなり走って逃げ出しました。
しかし彼は追ってきます!
「幸雄ーーーーーーー!!!やれれーーーーーー!!!
男ならやってミロや!!!!!!」
「ひーーーーーーーーー!」
ボクは職員室に逃げ込みました。
そして先生にワケを話して、家まで車で送ってもらいました。  

次の日から山田君は学校に来なくなりました。
人から聞いた話では彼は閉じこもりの生活を送ってるとのことです。
DOAX・・・この言葉にボクは恐怖をおぼえるようになりました。
DOAX・・・・・
同じゲームでも格闘超人をやっているボクはなんともないのに。
DOAXとはどんなゲームなのでしょう?
彼を狂わせたゲーム・・・
ボクの心に深い傷を残していった・・・・

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