[カーテンの向こう]
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もう判っているでしょ?
その真っ赤なスリッパも、赤い水玉のネグリジェも、真っ赤な前掛けも、
全部血の色だったのです。
徐々に上げられる手は、私に向けられて、またゆっくりゆっくりと歩を進めて・・・

悲鳴・・・というよりも、金切り声を上げて失神しました。

次の日の朝、目が覚めたら別の個室の病室で寝ていました。
目が覚めた瞬間、すぐにナースコールを押しまくって、
みっともないのを通り越して看護婦さんに泣きつき、全部話ました。
その日から私は、今までいた2部屋からかなり離れた6人部屋に移動となり、
夜は睡眠薬、昼間は騒がしいおばちゃん達にホッっとさせてもらって、
無事入院完了できました。
結局、あの隣のベットで何があったのかは教えてくれませんでした。
でも笑いもせず、ちゃんと話を聞いてくれた看護婦さんは、
きっと何かを知っていたのでしょうね。

話は以上です。
本来なら、あの病室でむごったらしい死に方をした人がいて・・・と、
話すべきなのでしょうが、尻切れトンボのようで話が終わってしまい、
申し訳ないですが、これがすべてです。

追記するなら、寝る前には確かに隣ベットに人はいたのです。
普通のパジャマを着た、かなりのおばあちゃんだったはずなんですが。
ネグリジェなんか着せたら、それこそ怖そうな(w
カーテン越しのあの身体の凹凸。胸の高さを確認することが出来たので、
垂れていそうなおばあちゃんでは、あれはちょっと。
それと、入院した人なら分かると思うのですが、
カーテンはテレビぐらいの光はまっっったく通しません。
そんな薄いカーテンではなかったんです。
では、私が見た影は?と思いました。

以上です。長い話、失礼しました。

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