[カーテンの向こう]

もう10数年前の話なのですが。
当時私は花の女子高生で、良性の腫瘍を取り除く手術をするために、
2〜3週間ぐらい入院しました。
それが起こったのは、入院初日のことでした。

入院が始まり、身の整理を一通りやった後、
レントゲンやら尿検査やら血液検査やら検査まみれで
その日はぐったりしてしまいました。
9時消灯で電気が消えると言われたとき、
そんな時間で寝られるかぁ〜〜〜!と思いきや、
消灯と同時に高いびきで眠りこけました。

目が覚めたのは何時だったのか、私は覚えていません。
2人部屋の廊下側のベットで寝ていたのですが、
窓際のベットから話し声がうるさくて目が覚めたんです。
おぉ!幽霊か!と、正直期待したんです。
今考えれば馬鹿な考えだったのですが。
でも、それはなんて事はなく、テレビの音だったのです。
どこかのチャンネルでトークショーでもやっているかのような音でした。
話の内容までは聞こえてこず、何だか人のひそひそ声が静かな病室に
雑音のように聞こえて耳障りでした。
耳を押さえて背を向けて、そのまま寝てしまおうと思ったんです。
でも根っから夜行性の私。9時から寝たというのも災いして、全然眠くならないんです。
看護婦さんに言おうか。それとも私がカーテン開けて文句を言おうかと悩み、
でも入院初日から問題起こして問題児のレッテルを貼られるのもイヤなので、
今日は一日我慢して、これからもこれが続くようなら文句を言おうと心に決めました。
でも、やっぱりイヤなモノはイヤで、私は思わず思わせぶりな大きなため息を付いたんです。

続く