[コタツ]
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炬燵布団をめくり中を確認する勇気もなく、私は汚れた食器もそのままに
歯を磨いてロフトに上がりました。
ロフト部分はマットだけのベッドが置いてあります。
私は寝巻きに着替えるとすぐさま布団にもぐりこみました。
階下では、まだ猫が走り回っている音がします。
なかなか寝付けずにいると、なんだかお腹の下からぞわぞわと
恐怖心が湧いてきます・・・。

なんだろう、なんだろう・・・私は混乱しながら恐怖心を抑えていました。
 ずしっ・・・
足元の掛け布団が、何かに踏まれたような重さを伝えてきました。
私は恐怖で動けません。

 誰か乗ってる!

そしてまた、ずしっ・・・・

 上がってくる!来るな!来るな!来るな!

それは直立で眠っている私の左手のあたりまで上がってきたのです!
そして・・・

一瞬ベッドマットが浮き上がり、床に叩きつけられました。
そしてまた、ドンッドンッ!!と、マットが床に叩きつけられます。
上に乗っている私は、振り落とされないようにマットの両端を
つかみ、しがみつきました。
宙に浮いては叩き落とす、それを数十回繰り返し、今度は
上下を交互に左右に振る。
なんだか大きなものが玩具を振り回すように、マットを振り回すのです。
マットから落ちたら、今度はどんな事になるか・・・それが怖くて
私は必死に両手両足でマットにしがみつきました。
そして、気を失ったようでした。

目がさめると、私は涙と鼻水でがびがびになった顔で
やや左向きにゆがんだベッドマットの上にいました。
掛け布団も半分以上はがれた状態で。

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