[おかしくなった友人]

ちょっと長いが失礼
話し言葉の方言を慣れない標準語に直してみたんでぎこちないかもしれんが

免許取り立てではしゃぎまくってた時
なにぶん田舎なもので、毎晩皆思い思いの車に乗って調子に乗りまくってた
そんな訳で、田舎の夜はヘッドライトの明かり以外は星が瞬くばかり
ざわざわと木々が擦れ合う音を吹き飛ばすぐらいアクセルふかして意気がる僕達はまったく田舎の高校生の鏡のようだった
その日は気紛れに心霊スポットに行こうと言う事になった。地元ではバカなら一度は訪れる廃屋のことだ
僕の車で行くことになった。汚すなよ、土禁だからななんて寒い事をいいながら意気揚々出発
何回か行ってたんで気軽な感覚だった

農道をとことこ走っていくと森に同化するようにその木造平屋建はぽつんとある
地主さんの家みたいに広くてゴージャスなんだけど俺の知るかぎりずっと放置されてるその家屋はまさに廃屋と言う名にふさわしい
概観からしておんぼろ。とにかく木が湿ってそう
家の建ち方としてはト○ロの家な感じ。あそこにあんなスウィートホームじゃなくて
純和風のいかにもって感じのが建ってる
行く度思ってたけどその家屋付近は霧がよく発生する
冬だから余計なのかしらんが
車から降りると家屋裏の真っ暗な森がざわざわうるさかった
ちょっと風もあったし、ミリミシ、と独特な家鳴りがいかにもな雰囲気を醸し出している
なんてことはない。僕達はただ中に入って写真をとる

買ったばかりのデジカメを使いたいが為に
そして写真をとったら適当に捜索していつものように帰ってコンビニにでも行く予定だった
ずかずかと玄関からはいった。家具は殆どない
散らかされたゴミと大きなタンスとよくわからないが漬物樽みたいのがちょっと残ってる
「M撮ってやろう」
埃に塗れてカリカリになった表紙もよくわからない雑誌を拾い上げていたMにTが言う。
「我が城ですwww」
ふざけながらMは当時僕らの中で流行った台詞をいって襖を背に両手広げて超スマイル。
フラッシュがあたりを照らした瞬間、僕は全身に鳥肌がたった

やばい、なぜかわからないけど頭にそう浮かんだ気がする。とにかく一瞬にして冷汗をかき鼓動を乱した
次の瞬間誰かが奇妙な奇声を発し、驚いて僕は外に逃げた。皆も後からついてきた
場は一瞬にして小パニック
息を切らしながら車まで走りつくがMとTがいない
振り返るとTがMを押し退けてこちらへ脱出してくる所だった
Mは死にそうな顔してもがいてる。腰が抜けたのかうまく走れないMに駆け寄った僕は、引きずるように車まで走った
「どうした?足捻ったか?」
「ちがう!ちがう」
Mは過呼吸気味にヒッヒッといいながら口をぱくぱくさせていた

もう帰ろう。何も言わなくても一致団結だった
Mを後部座席の真ん中にのせ、支えるように左右にTとNが乗る
「M気分悪なったら言って、とりあえずコンビニいくから」
返事がない。ただの屍のようだ
そんな感じで退散。闇をヘッドライト光で切り裂きながら僕らは明るい場所を求めた
霧は晴れていた。後ろでは相変わらずMに声を掛け続け大丈夫かと問うている
僕は視界の端に猫の死体を捕えた。珍しくはないけれど今は見たくなかった、なんて考えた刹那
バガッゴッシャァァァ!みたいな音がして急ブレーキをふむ
「なになになになに!??」
「Mが飛び出した!!」
バックミラーで確認すると後方にMが蹲っていた

続く