[妙見山]

ここは関西ではかなり有名な心霊スポットである
名は『妙見山』
彼と知り合ったのは高校3年生のことであった
当時、あるスーパーマーケットでバイトしてる時に出会った彼は霊感が強く「視える」そうであった
彼は一つ年上で、バイトでは私のほうが先輩だったのだが、仮に彼をO君としておく
O君はとても陽気な性格で、皆から信頼をおける人物だった
私もO君の人柄に惹かれ、いつしか先輩のような存在になっていた

ある日「よかったら飲みにいかへんか?」と誘われた
もちろん断る理由もなく、私は一つ返事で了解した
焼き鳥を食いつつ、楽しい話で盛りあがった所、O君はこう言った
「俺な、霊感があるねん」
それは噂で知っていたが、どれくらい信憑性があるかは定かではなかった
酔った勢いで私はO君にこう言った
私は「うわ、、、ほな、なんか怖い話してや〜」
「ええで。実は俺の住んでるマンションやけどな、、、」
O君は話し出した
「俺が部屋で雑誌読んでてんや。夏やから暑いやろ?窓あけっぱなしでいてん」
「ほしたらなんか妙な気配がしてな、、、窓の外をみたんや、、、」
「ほんだら、生首がようさん窓の外を並んでこっち見とるねん。めっちゃビビったで!」
「思わず窓閉めてな、なんやねんあれ?って思ったわ。ほんで便所行きたくなってな、小便に行ってん」
「小便しとったら、イキナリ金縛りにあって天井から長い髪の女がいきなり落ちてきよるねん。」
「目があってなぁ〜、何ビビらしとんねんって思ったわ!」
霊感がない私だが、これはおもしろい話をきいたと思った
これも彼の陽気な性格のおかげだろう、、、

「ほな、シメよか?」
O君はそう言って、お茶漬けを注文した
ひとしきり食べて会計はO君が支払ってくれた
「ご馳走様、、、」と言ったあと
「俺んちこうへんか?」と誘われた
家も近いことだし、私は即座にOKした
「連れ呼んでええか?」
連れとはO君の同級生で、私の部署の先輩のHさんであった
「ほな、行こか?」
私達は、O君のマンションでおち合せることになった
O君の住居で驚いたのが、あちこちに御札が貼ってあったこと、、、
曰く、O君の家族は皆「霊感体質」であった
O君は言う「あんま意味ないんやけどな、、、」

ほどなくしてHさんが来訪した
彼も霊感というものがなく、しかし「霊感」ってものは「うつる」らしい、、、
Hさんも奇妙な体験をしていたのであった
「Oの家に行くときの話やけど、、、」
ここでいわゆる、怪談話がはじまったのだ
酒を飲みつつ話に耳をかたむけた
「こいつ(O君)の家、向かうとき車で線路沿いの道を走っててん、、、(能●電鉄)」
「手前に駅があって、電車が止まってるのを見てんや。そいつを追い越して、ほんで次の踏み切りで、あ〜踏切待ちかって思うてんや」
「でもな、遮断機は降りてないし、駅の方を見ても何もないねん」
「せやけど、駅待ちしてる電車追い超して踏み切り待ちしてるわけやろ?そんなハズはないねん!」
「あれは不思議やったわ、、、」
電車の幽霊か?
私はそれでも面白いと思った
しかし、話はこれでは終わらなかった、、、

誰かが言った
「妙見山行こか?」
そこは関西でも屈指の心霊スポットとして有名である
「行こ、行こ! おもろいやん!」
なんだかんだで、即座に話は決まった
駐車場で話し合いをしている所に、O君の弟が帰宅していた
実はO君というのは双子で、彼と同じく霊感が強いのだった
話をすると「俺も行きたい!行きたい!」とせがんだ
結局、車で4名『妙見山』に行くことになった
国道173号線をこえ、「一庫ダム(ここも有名な心霊スポット)」を渡り、いざ妙見山を目指し車はひた進んだ

山道を登りながら、O君は言う
「この山上の『野間トンネル』が怖いねん、、、」
「前な、来たことがあるねん。夜やけどトンネルをくぐろうとしたら天気もいいのに急に風が吹くねん」
さらにこう言う
「そん時な、まわりの森がざわめくねん、、、」
「トンネルの入り口に女が立ってたような気がしてん、、、あれは気のせいやったんかな?」
そんな雑談をしながら、私達は目的地へ向かっていた

うねった道を突き進み、とうとう頂上の野間トンネルに来た
ゆっくり速度を落としてトンネルに入る、、、
トンネル中央でO君が言った
「エンジン止めよか?」
ブルン、、、とエンジンが止まる
辺りはしーんとしてる
「なんもないなぁ〜」
エンジンをかけ。トンネルをくぐった
トンネルを抜けたところに山茶屋がある
そこの駐車場に車を止めた

続く