[発端は肝試し]
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その時には顔も悪夢も耐えられない程になり半ばノイローゼ気味になっていたが事情を知っていた友達は何とかオレを元気づけようとみんなで誘ってくれたのだった。

最初は楽しく飲んでいたけどある親父集団が店に入ってきてから何故かオレは涙が出てきてそれを友達にバレないように必死で隠していた。

オレのごまかしが上手くいったのかみんなが気を使ってくれたのかみんなは変わらず楽しそうに飲んでいた。

その時急にさっきの親父集団の一人が『うるせぇんだよ』とこっちに向かって怒鳴りながら歩いてきた。

俺たちからDQN臭がするのかもしれないが他のDQNを呼んでしまう事がよくあったのでみんなまたかという感じだった。

オレは親父集団の事が気になっていた事もあり涙を拭いて親父の正面に立ち『なんか用すか?』と親父を至近距離から睨み付けた。

オレは親父の顔に何故か見覚えある様な気がした。

あれ?と思った瞬間に涙がすごい勢いで溢れ出てきて『こいつだ』と心の中で思った。

何がこいつなのかはさっぱり分からなかったがとにかく強く『こいつだ』と思った。

泣いてるのがバレると思って下を向いたら親父がオレの髪を引っ張って上を向かせてオレの顔を見た。

すると親父は驚いて手を放し明らかに動揺していた。

オレには殺意が芽生えていた。
が、何も出来ず、親父は何も言わず逃げる様に帰って行った。

その日から痣、悪夢だけではなく、時々あの女も見える様になった。

やっぱり見えるのは下半身だけだったけど鏡を見てるとなんとなく女の顔がわかるような気がした。
女への恐怖は何故かその頃には無くなっていた。

それから何故かオレは筋トレにはまり(おそらくあの親父を殺すため)ガチムチとは言わないがそれなりの身体付きになり何かをやり遂げる達成感に目覚めて勉強までやり出した。

一つ一つ目に見える成果をあげていく度に痣も悪夢も無くなり女も段々と見えなくなっていった。

二年以上経った今は何も見えない。
が、よく見えてた時は怖くなかったはずなのに今女を思い出すと怖すぎてトイレに行けなくなる。

霊感ゼロのオレが体験した唯一の不思議な体験。マジ話だったからオチがわけわからんくてごめん。


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Part207
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