[発端は肝試し]

一昨年の話。
友達数人と肝試しに行った。
肝試しと言ってもドライブ形式で目的の場所を車でうろつく程度の事だった。

目的の場所とは、人通りも少ないわけじゃない心霊スポット的な噂もたってない普通の道路。
ただ友達、友達の叔父さん、オレのバイトの先輩がそこでのっぺらぼうの女の幽霊を見た又は車に乗せた的な事を聞いたから、行く勇気もないのに心霊スポットに興味のある友達数人で行く事になった。

最初はみんなビビってたけどたまに使っている道路だから段々慣れてきて何往復もしたり、
車を停めて『のっぺらぼうとかなくね』とかしゃべってたり最後はオレのバイトの先輩が見たと言っていたカーブの所で車を降りてションベンまでして帰ってきた。

この日は誰かに霊が取り憑いたとかオカルト的な事は何もなかった。

その日から何週間か後、親父が深夜に倒れた。

呂律は回って無いが何とか喋れる程度に意識はあり、救急車じゃなくオレの車で病院へ連れて行った。

病院での診断は何でもない(確かに診察中には自分で受け答えができるほど回復していた)とゆう拍子抜けする結果だったが
俺と、付き添いで来ていた母ちゃんは泣きそうになるほどホッとした。(次の日の診断で脳梗塞と分かり緊急入院したが)

安心しすぎて帰り道に自分が無意識にあの道を選んでいた事に気付かなかった。

例のカーブに差し掛かかり曲がる直前に道路の端に気になるものがあった。

曲がる直前だから道路の端が車の正面に見える感じだったんだが(説明下手でごめん。わかるかな)
とにかく正面に女(スカートかワンピースを着ていた)の腹から下の下半身だけが見えた。
車のライトで正面から照らしてるのに胸から上は影で見えなかった。

見た直後は『え?』って感じだったがその先の信号で泊まった時ありえない悪寒が下から登ってきて尋常じゃないほどの汗も出て、やっと自分が見たものが何なのか理解できた。

母ちゃんに何か見たか聞こうと振り返ったが母ちゃんは親父の事を気にかけている様子で余計な事は言わない方がいいと判断して何も言わなかった。

家に帰ると疲れが一気にきて汗で濡れた服を着替えて寝る事にした。
その日からオレの身体ってか顔に異変が起きた。

頬骨のあたりと眉毛の端のあたりいずれも骨の出っ張った所に痣らしきものができはじめた。

最初は小さいものだったが段々大きくなり中心の方は段々と膿がでてきたりと次第にひどくなっていった。

医者に行っても治らず完全に原因不明。
治すのは諦めて髪の分け目を変えたりして隠す事にした。

そして内容は覚えていないが悪夢にもうなされるようになって当時一緒にいた女もオレを気味悪がるようになった。

そんなオレに再び異変が起きたのはあの女を見てから何か月か後、友達十数人で飲みに行った時だった。

続く