[おじぎ]
前頁

右手をおじさんが引っ張り、左手を兄貴と二人で引っ張って頭から剥がしたが、
Yさんの力は恐ろしく強かった。

そうやって無理矢理剥がしたままで、
おじさんが散歩している60位の爺さんに声をかけて、
その人がYさんの頭を前から抱く感じで捕まえると、
すぐ近くの神社までみんなでYさんを運んだ。

頭を前から抱き込まれたYさんは首を前に折ることは出来なくはなったが、
爺さんはYさんの頭と腕に自分の腕を挟まれているので痛がっていた。

神社では神主さんが手伝って大人3人で社の奥に運んでいった。

自分と兄貴は手と顔を洗ってからYさんの親を呼んで来るように言われ、
呼ぶのは兄貴がすると言うので自分は家に帰された。

その後は兄貴に聞いた話だが、
兄貴がYさんの両親を呼んでから神社でYさんの両親と神主さんに何があったか説明していたら、
Yさんの親父が変に切れて右フックを顔面に食らったらしく、
Yさんの親父はそれを神主さんと奥さんにかなりなじられたらしい。

それ以来、兄貴がYさんの親父の話をするときは「Yのアホ親父」と言う。

神主さんの話では、あの山にYが呼ばれたから兄貴は悪くないし、
むしろ兄貴と自分はYが取られるのを防いだらしいから感謝しやがれって事らしい。

普通は一人で呼ばれるので助からない事が多いらしいが、
Yさんは兄貴を誘ったり、大人達に助けられたりと運が重なったのが良かったらしい。

兄貴はYさんを助けたものの、ボールを取ったときに手のひら草で切るは、
小山から逃げ出すときに道路脇の段差を下を見ながら駆け上ったので自分の膝で鼻を強打するは、
Yさんの親父に殴られるはで散々な目に遭って家に帰ってきたが、
呪いやタタリが有るわけでもなく無事だった。

Yさんは神社でお払いでも受けたんだとは思うが、
その後は市内の総合病院に暫く入院していた。

首はヘルニアになる寸前で、軽度の肉離れが上半身や腕の複数箇所できていたらしい。

しかし、退院後は妙な事は無かったし、Yさんは今も元気にすごしている。

もちろん自分も無事です。以上!


次の話

Part205
top