[奇数]
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C「このカップル、死ぬ前の事繰り返してる」
3人共、Cの言ってる事がいまいち解らなかったけど、Cの表情を見て大体察しはついた。

A「おい、帰ろうぜ!」
E「おぉ・・早く行こう」
俺「C、行くぞ!」
みんな小声で話し、俺はCの腕を引く。すると、Cが腕を引っ張ってる俺の手を振り解いて俺の胸をドンと押す。

C「やべぇ、男が気付いた」
俺「じゃあ早く逃げようぜ!」
C「ダメだ!こいつきっと俺についてくる!お前らだけで行け!」
俺「何言ってんだ、行くぞ!」
もうAとEは俺の服を引っ張ってすぐにでも逃げようと訴えている。

C「先に行って車で5分待って俺が来なかったら逃げろ!早く!」
Cにそう言われて突き放され、もう行くしかなかった。意味がわからねー、本当に何かいんのかよ?と思いながら全速力で走り車に駆け込んだ。

B「そんなに急いでどうしたの?あれ?Cは?」
俺「はぁはぁ・・わかんね・・・やべーかも」
BとDは少し驚いた感じで色々聞いてくるが、俺も正直理解出来てなかった。もしかしたらCがふざけてるのかもしれないし。

俺「よくわからねーけど5分待ってCが来なかったら逃げろだと」
D「何それ?ふざけてんじゃないの?」

俺達自身が理解してなかったから、質問しても曖昧な答えでBとDもよくわからず困惑していた。
とりあえず、煙草に火をつけて気持ちを落ち着かせる。

D「そろそろ5分経つんじゃね?Cも帰って来るだろ?」
短い時間だと思うが、みんなだいぶ落ち着いてきていた。よく考えてみればCがふざけてた様に思える。
しかし、それにしても遅い。かといって本当に置いて行く訳にも行かず、また不安な空気になってきた。

A「携帯に電話してみればいいんじゃね?」
俺「あ、そうか」
携帯を出してCに電話をかけようとすると、先にCから着信が来た。

俺「もしもし」
C「もう少ししたら行くから待ってて」
俺「あぁ、早くしろよ」
俺はふぅと深く息を吐いて携帯を閉じた。

A「やっぱりCがふざけてたのか」
俺「もう何でもいいよ」
E「どうせ俺達3人笑われるぞ。友達置いて逃げたとか言って」
3人?・・・3人。何か引っかかったがすぐに気付いた。

俺「3人で帰って来るって奇数じゃねぇか」
みんなが黙り込む。俺はとっさに携帯を開いて画面を確認した。電波がない!圏外だ!着信履歴を確認するとCからの着信はない。

俺「おい、ここ圏外だしCからの着信履歴がないぞ」
みんな「本当だ、電波ねぇ」
E「俺達、誰を待ってるんだよ」
D「Cだろ?Cが来るんだろ?」
違う。Cじゃない。あいつは5分待って来なかったら逃げろと言っていた。

俺「早く車出せ!」
大声で言うとBがすぐさまエンジンをかけて車を出した。さすがにみんなヤバいと感じていたと思う。
奇数とかそんな事関係あるのかよ、未だに信じられないが現にCはいない。そして逃げ帰っている途中にメールが来た。

俺「Cからだ・・『間に合った』・・・」

みんながひとつ空いた席を見た。


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Part204
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