[部室]

今から10年近く前
俺が中学二年生の時の話

夏になり、うっとおしかった三年が部活を引退し、
俺たち二年が自分好みにバスケ部の部室をいじっていた
顧問はけっこういい加減な性格で、
部活にはでないし、部室にもこない
ということで、漫画本やお菓子などを持ち込んだ
電気が通ってないので、電池&電球なども用意した
秘密基地に近いノリ
(今考えると、
思春期の少年を管理するために定期的に部室点検みたいなのが義務つけられていて
こっそり見回っていたのかもしれないが、何もいわれなかった)
部室の鍵は原則として帰るときには返却しないといけないのだが、
一日だけそれらしい別の鍵とスリ換えで返却、その日のうちに複製をつくる
次の日にまたスリ換える
俺たちは合鍵をつくっていつでも自由に出入りを出来るようにしておいた

ある日、同級生のKが、部室内に覗き穴を開けた
穴の向こうは隣接している女子バスケ部
穴は女子バスケ部の棚の段のすぐ下にあるので気づかれない
絶妙の場所だ
夜中に女子バスケ部に侵入し、そちらからばれにくい場所を考え、穴をあけたのだという
俺たちはは感心した

交代で女子の着替えを覗いていたが、
まさか着替えを見ながら、みんなの前でオナニーするわけにもいかず、ただただ悶々とするだけ
あまりいいものでもないなーと思い
俺は数日で覗くのを辞めた

ある秋の金曜日の晩、俺は父親と喧嘩をして家出した
部室に泊まることにした
電球をつけ、誰のかわからないタオルを適当に床に敷いて簡単な布団代わりにして寝転び漫画を読んでいた
次第にウトウトしていたが、物音がしてハッと目が覚めた

隣の、女子バスケ部の鍵をあける音がする
角度的に向こうに光が漏れることはないが、念のため、音がしないようにそっと電球を消した

誰だろうと、覗き穴に目をやった
室内は暗かったが、月明かりが差し込んでいたのでなんとなく人影が見えた
Kだった

Kがなんで、こんな時間に、しかも、女子バスケ部に。鍵は・・・と、色々気になったが
Kは女子のユニフォームを手に取りオナニーを始めた
(鍵は、俺たちが自分の部室の鍵をつくったようなスリ替えで作ったんだと思う)
まずいものをみたな・・・と思ったし、俺はKのオナニーなんてみたくもないので
物音を立てないように壁から離れそっと床に座った

隣の部室からハァハァという音が聞こえる
Kは、「○○ちゃんいいよー」などと、女子バスケ部の女の子の名前を言いながらオナニーをしている
親との喧嘩のイライラはもう消えていた とにかく、もう嫌だ 帰りたい
でも今帰ったらKにばれる
覗き穴を作ったのはKなので穴の存在を知っているわけだし、今、俺が今出て行ったら
当然、自分のオナニーを見られたと思うだろう
それは非常に気まずくなる
Kが帰ってから、俺も帰ろうと思った

続く