[異世界へのエレベーター]

小学4年位だったかな?
当時俺は10階建てのマンションの8階に住んでた。
当然のように、家に帰るにも、学校に行くでもエレベーターを使ってたんだが、ある日学校から帰ってきて、いつも通りエレベーターに乗ったんだ。

当時は携帯なんか持ってないし、市の端に住んでたのと、一人で帰るのを好んでた俺は、いつも一人でエレベーターに乗ってた。

自宅のある8階まで息を止めれるか?
とか
目を閉じて、8階を感覚で当てる

みたいなしょーもない事をやりながらw

しかしその日はいつもと違った。
エレベーターの中の空気が…

密度が高いと言うか、妙に圧迫感があったんだ。

だからといって、乗ってしまった後だし、もう扉は閉まっている。

どうしようもなく俺は8階のボタンを押した。

(早く、早く…)

俺は一刻も早く家にいる祖母の顔を見て、安心したかった。(親は共働き)

エレベーターは順調に昇って行く。

2階…

3階…

4階…

5階…

6階…

その瞬間だった。

前触れも無しにいきなり全身の毛穴が開く、鳥肌が立つ、冷や汗が止まらない。
直感的にヤバいと思った。
なんと言えばいいかわからんが、恐怖じゃないんだ。
例えるなら家族で海外旅行行ったのに、自分だけ迷子みたいな。
頭ん中は
(このままじゃ帰れない!)(どうしよう!)
と何故そう思ったかはわからないが、この2つがぐるぐる回っていた。

ふと7階で扉が開いた。
唐突に、機械音と共に開く鉄の扉。

その先はいつものマンション…
10年住んだマンション…
何度も乗っているエレベーター…

見慣れた7階の風景…

だけど…


(違う!!ここは7階じゃない!)
確かに見慣れた風景なのに、何かが違った。

あくまで「何か」としか解らなかったが、確実にこのままでは家に帰れないと思った俺は、そのままうずくまり目を瞑った。

とにかく見ちゃダメだと思った。

早く帰りたくて、帰りたくて、心の中で(ばあちゃん、ばあちゃん!)と呼んでいた。

どれくらい時間が経ったんだろう…

エレベーターの扉はいつも通りの間隔で閉まり、普通に動き、普通に止まった。

結局顔をあげなかったので、8階に着いていたかはわからなかった。

そして気がついたら清掃員のおばちゃんが心配そうな顔で見ていた。

不思議な事に何故か、膝を抱えた姿勢でエレベーターの中で眠っていたそうな。

エントランスを通る時に、管理人室の前も通るので、マンションについた時におばちゃんがいる事は知っていたし、それなりに仲も良かったんで後日話しを聞いたんだ。

俺がエレベーターに乗ってすぐに、各階の清掃をしようとボタンを押したらしいんだが全く反応が無かった。
俺が乗ったのを見ていたので、心配になって管理会社に電話しているとエレベーターのドアが開く音がして、中で俺が眠っていた。

その間は3分〜5分。

要点を言えばこんな感じ。
んで、まあ正直多少は怖かったんだ、この時はまだ…ねw

その晩夢を見たんだ。

いつも通り学校から帰ってきて、いつも通りにエレベーターに乗ってる夢。

ただ、いつもと違うのは見知らぬ女の子が先に乗っていた事。

人見知りな俺は、ろくに目も合わせれずに黙って8回のボタンを押した。

扉が閉まる…

「ごめんね?」


え?

いきなり謝られた俺はなにがなんだかわからなかった。
しかし見知らぬ女の子はちょっと困った様な笑顔で
女「このエレベーター違う世界にも行くんだ…」

俺「異世界みたいな?」

女「そんな感じw」
「だから君は本当は乗せちゃいけないの」

俺「いつも乗ってるけど…」
女「異世界に行く時って事」「けど今日君を誤って乗せてしまった。怖かったでしょ?ごめんね?」

俺「そうだったんだ…」
「大丈夫だよ!男の子だもん!ほら!この間転んだ時にできた傷wけどなかなかったんだよ!」
「だから大丈夫!」
正直会話の詳細は忘れたが、内容はこんな感じだったと…(俺こんな健気じゃない)

で、結局結構楽しく喋ってたんだが
女「もう朝だね…」

俺「だね、学校行かなきゃ…」

的な感じで目が覚めてしまいバイバイ。
この時はもうただ友達と喋ってたような感じで全然怖くなかった。

以来一切夢にもでてこないし、あんな不思議なエレベーター体験も無いし、2階建ての一軒屋に引っ越したし、り忘れかけてたんだが、まとめサイトのエレベーターの異世界の話を見てふと思い出したんで書いてみました。

一応終了っすwww


次の話

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