[自殺団地]
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とりあえず、エレベーターを呼ぼうと鍵を差し込むも、エレベーターは上の階に
行き始め、一度4階で止まったのか、4階の表示が長く続き再度上へ。
そのため戻るのを待つはめに。他のエレベーターは動く気配なし。
待っていたその瞬間、
ドーーーーーン!!!ポン。ポン。ポーン。といきなりの音。
階段付近から何かが音を鳴らして来てるような音。皆怖くて動けない。
Sが「あーー、来るなー。来るなー」と気が狂った様に言い出す。
俺は「おい、兎に角向こうの階段から逃げるぞ!」と言いSの肩を引っ張った後に
走り始めると全員そこに向かい走る。
3階から2階へ。
そこで上から何かが落ちてきた。
ヒュンと上から落ちてきたモノと目が合った。
人だった。
一瞬の事だったけど、全員が見た。
ニヤっと笑ってるように見えた。
そしてドーーーーン!!!!!!!
と下で音がなった。
もう動けなかった。
下には行けない。上に行こうとは思わない。
どうしようも無い状況で2階と3階の階段の間で
立ち尽くしてた。
するとポーン。ポーーン。という音が2階の方から近づいてくる。
再度パニックに。
明らかに音は2階から近づいている為、急いで3階へ上り逆の棟の階段へ。
そこから一気に降りて1階へ。
1階に着いたら、すぐに明かりを求めて何故かエレベーターホールへ。
そして出口へ向かおうとした瞬間、
俺を含めて4人だけが見た。
ホールの階段で人の生首の様なものを手毬のようにしながら
グチャグチャの何かが降りてきてるのが見えた。直ぐに外へ逃げ出す。
とりあえず走りコンビニへ逃げ込む。
知り合いのバイトの兄ちゃんに
「人が飛び降りたかもしれん。警察呼んだ方がいい?」と伝える。
「おまえら高校生がこんな時間になにしよるかってなるぞ?」と言われる。
「とりあえず、本当に落ちたか見たか?それとも落ちた後のか?」
と言われると友人の一人が「もういいって。関わらん方がいいって」と
全員に向かって言い、無視することに。
その後明るくなるまでコンビニで漫画を読んだりしながら
明るくなったと同時にSの家に向かう。
その後昼過ぎまで寝て、起きた後、その話になった。
「本当に怖かったわ。出口で見た奴が気持ち悪すぎた。」と話をしていると
残りの3人は全く気付かなかったらしい。
ただSが「あれ、ブサイクやし俺やったんかもしれん」と少し笑いながら言い皆を笑わせてた。
その1年後の受験勉強真っ只中の時に13階建ての団地からSは自殺した。
Sの葬式にはいったけど、Sの母親は遺書に何か書いてあったのか
俺たちにはとても冷たく、「アイサツしたら直ぐに帰りなさい」と言われた。
他の人たちにもそのような様子だったが、Kは「アイサツって・・・。」と言いながら
「俺らがSと仲良かったのに助けになれんかったのは悔しいな」と泣き崩れた。
俺は高校卒業し大学進学でそこを離れ、大学2年の時に親はそこから引越したので
高校卒業以来全くそこには近寄ってない。
最近Kともう一人の友人に会った時にその話を思い出した。
俺とKとその友人とSが、階段から降りてくるナニかを見ていた4人だった。
そこで3人で話していると、4人が全く同じものを見ていたことを知った。
Sは死ぬ前に「俺かもしれん。」と冗談のように言っていたが、
俺を含めた3人も、ポーンポンと手鞠のようにつかれていた生首がSの顔に
そっくりだったと思っていたようだ。
結局遺書は見てないから何が原因かは分からないけども、
Sは自殺する前日まで俺らと普通に遊んでるし何も変わったことは無かった。
面白半分で始めた肝試しだけど、アレが原因だったならやるべきじゃなかった
と思わずに居られない。
それとあの時に上から落ちてきた人は本当に自殺だった。
もしかしたら3階で逃げ出そうと思った時に、
エレベーターが勝手に上がり4階で一度とまり再度上にいった
エレベーターの中にその人が乗ってたのではないか。と思うと二度とあの場所には
近づきたくない。