[三角関係]
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……最新のものを開く。
それは、「今、友達と渋谷に飲みにきてます」的な内容。
B男の家は八王子のほうであり、着信時間から見るに今こちらに来ているのは
物理的にあり得ない。
それがウソであればあり得ない話ではなかったが、そんなウソをつく必要は、
この状況において、果たしてあるのだろうか?
「今…渋谷にいるって書いて…ある」
「B男の部屋の前にC子いるよ…! でも透明っぽいの、どう見ても生身じゃない。
やっぱ生霊だと思う!」
その返事に、B男は確信したのか堰を切ったように語りだす。
「インターホン鳴らなかったし、ドアスコープは外が真っ暗で見えないけど、
俺もC子しか考えられない。なんかドアの外にいるんだ!なんか頭も痛い!怖い!
少し前からドアの向こうでなんかブツブツ言ってるのが聞こえる…!」
A子は、B男に盛り塩だか清酒の置き方などを指示。
B男は料理をしない性格だったので、あるのは酒…というか第三のビールのみw
とりあえずその第三のビールをドア前に供えたらしい。
その間、A子はその半透明なC子に「帰りなさい」と語りかけ続けた。
そして、朝が来た。
A子は、気づかないうちに気を失っていたようだ。
体力の限界がきていた。
B男との電話もいつの間にか切れていた。
C子の気配が周囲にも、B男のもとにもないことを感じ取り、ベッドまで這っていくと、
仕事をサボって昼まで爆睡したという。
起きると、B男への電話はもう繋がるようになっていた。
彼も会社を休んだことを確認し、すぐにB男の家に向かった。
ちゃんと塩と清酒を買って。
B男の家に着いてA子は言葉を失う。
ドアスコープの周りに、べたべたと指紋の跡が。
そして覗いていたであろう額のあとのようなものが残っていたのだ。
彼女の主観では、その跡はかなり新しいものだったという。
生霊にも、指紋を残すような実態があるのだろうか?
彼女にもわからない…だがしかし……
もしかして、ずっと覗かれていた…?
それは生霊だったのか?
それともメッセージはウソで、来ていたのは彼女本人だったのか……
A子はB男の部屋で携帯からmixiにインし、C子のマイミクから外されたことに気づく。
B男がPCをつけてC子のマイミク限定日記を読んだところ
「渋谷でオール、久々に楽しかった!
〜なんか絵文字羅列文章が長々〜
…B男は一晩中糞女と電話してたみたい、マジウザイ、死ねばいいのに!
死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!」
C子はB男の自宅の電話番号どころか住所、本名すら知らない。
通話中お調べサービスでC男の自宅の通話状況を調べるには、
C男の自宅電話番号が分からなければ利用できない。
電話番号案内サービスは、住所と本名が分からなければ利用できない。
なのになぜ、電話していたことを知っているんだ…?
やはり彼女はずっと彼のことを見ていたのだ。
どこで住所を知った?
いつかどこかで、つけられていたのか!?
その後、A子はB男と距離を置くことにし、B男は自省をこめてだらしなかった
女性関係を整理するようになったようだ。
もちろんC子へもはっきりと付き合えない旨を告げたが、しばらくストーキング
されたらしい。
荒唐無稽で俄かには信じがたい話だが、C子のmixi日記などを自分も読んでいることや、
のちに実際に機会がありB男と会ったことで一気に自分の中で信憑性が増した。
年が10近く離れてる男に執心してしまい、生霊すら飛ばしちゃった?ほどの執念を
持ってるボーダーの女性ってそのうち犯罪やらかしそうで洒落にならん…
当事者の一員じゃなくて良かったけど、かなり恐ろしかった。
今も彼女は、mixiで別の好きな男を見つけてはつきまとっているらしいので、
ネットでの出会いには、ご注意を。