[廃墟]
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誰か〜いるの?
そういいながら、部屋の中を覗くと、誰もいませんでした
その時、誰かが階段を走って上って来るのが分かりました
えっ!誰!もう一人の友人は、わたしの服をつかんでぶるぶる震えていました
わたしの心臓ももう破裂しそうなくらいドキドキしていました
しかし、階段を上って来たのは、さっき一人で廃墟に入っていった友人(優子)でした
もう〜どこ行ってたのよ、心配したじゃないって感じで
ほんと、もうこういうのヤメテよねって皆少し怒っていたんです

ゴメンゴメン、彼女は人を驚かすのが好きなようで
ほんとっ、ゴメン 何度もそういって謝っていました
もういいから、そろそろ帰ろうよ
わたしがそう言うと
もう一人の友人がわたしに言うんです
えっ、今の…なに?って
その時!!
うぁ〜〜〜〜〜
大声で叫びながら、彼氏がもの凄い勢いで走り出したんです
ちょっと、何?
もう一人の友人を見ると
腰が抜けてしまったらしく口をパクパクさせて倒れこんでしまいました

いったい何が起こったの?
わたしには、なにがなんだか…
ねぇどうしたの優子?
わたしが優子の方を見ると、優子は

ぎゃぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!

と大声で叫び出し、気を失ってしまいました
わたしも怖くてたまらなくて、急いで彼氏の後を追いかけたんです

待って、置いてかないで〜〜
と叫びながら、必死で彼氏を追いかけたのですが上手く声になりません
階段を降りている途中、ふとわたしの横に何かが見えた気がしました
なに?
わたしは立ち止まって、振り返るとそこに大きな鏡がありました
その時、わたしはどうしても、鏡が気になり
その鏡を、覗いたんです

すると・・・
そこには・・・

グチャグチャに潰れたわたしの顔が…
何か大きなものが突き刺さって潰れたようなオゾマシイ顔が
あまりのショックに、わたしは気を失ってしまいました。

後で、聞いた話なんですが
何年か前、グランドで練習していた槍投げの槍が、ちょうど通りかかった女の子の顔に
突き刺さってしまうという悲惨な事故があったそうです
さいわい、命は助かったのですが、自分の顔を見た彼女は
あまりの恐ろしさに耐えられず
その日、自殺したということでした
そして、その子が運び込まれた病院が、ここだったのです


それから、わたしが鏡を見ることはなくなりました

あの顔が、どうしても忘れられなくて…


次の話

Part194
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