[返しに行く]

地元で友人3人と一緒に車で遊びに行った時の話。
フェリー乗り場に夜9時ごろ向かい、
横にある茂みの多い大きな空き地で遊んで、というのを度々してた。
いつも3,4時間そこで喋ったり、時には明け方まで
釣りをしたりしていた。

ある日、友人が遊んでる最中に急に寒気がすると言い出し、
ちょっとゴメンといって物陰で吐きはじめてしまった。
直ぐに帰ろうという事になり、車に乗り込もうとしたとき
空き地の奥の方からユラユラと動く人影を見つけた。
2人組みらしいが遠すぎるのと暗すぎるのとで、全く見えない。
ただユラユラしているという認識だけは不思議と出来た。

ただ、友人が気持ち悪そうにしていた為に直ぐに車をだして
家路を急いだ。
フェリー乗り場から自宅のある町までには3通りの帰り方があり、
一つはクネクネとした山道で、悪い噂(霊的な意味で)の耐えない神社
の前の道を行く方法。
もう一つは、これまた地元では有名な霊園の前を通るが、一番早く家に着く方法。
最後の一つはトンネルを通りコンテナのずっと続く道で、一番長く時間がかかる方法である。
いつもは、神社のある道を通ってきていたが
今回は友人が気分わるそうなので一番早く着く道、つまり霊園前の道をとって帰ることに。

その日はそれで終了。特に霊的体験もなかった。
はずだった。
次の日から気分の悪くなった友人が全く大学の講義にでなくなった。
1週間たっても来ないし、その間何度か電話したりメールしても連絡はつかない。
1週間たったときに心配になり友人の家に行くも誰も出ない。
実家の電話番号に電話して生死だけでも確かめようと思ったが実家の番号に何度か掛けても
?がらなかった。

その1ヶ月後に友人(仮にAとする)は無事に戻ってきた。
かなり心配していたので、残りの友人と一緒に「何故電話かけてこなかった!」と
すこし怒りながら詰め寄った。
そのときに、Aは「ねぇ、返しにいく、着いてきて」といきなり
ワケの分からない事を言い出した。
こちらが休んだ理由を聞くと「疲れとったんよ。」
と言うので「若いくせに何を」と少し笑いながら答え、それから夕方までは
今までどおりと一緒に飯をたべ、講義を受け、帰りを共にした。

ただ、別れ際にAが「ねぇ、本当にさー、返しにいくの今日皆ついてきて」
と言い出した。「何を?」と答えると
「いや、今日暇?暇なら久しぶりにフェリー乗り場の空き地行こう」と言う。
「返しにいくってのわ?」と問うと「いったらわかるよ」と笑いながら手を振り
「んじゃー、夜ね」と帰っていった。意味は分からなかったけど、
久しぶりに皆で遊ぶことになったので、残りの2人と一緒にご飯を食べにいき
その後Aを誘ってフェリー乗り場の空き地に向かう。

続く