[そーいう写真の話]

修学旅行に行ったとき。
学校にせよ個人にせよ必ず写真を撮るとおもう。
「その中の何枚かがおかしな写真で・・・」そんな経験がある人も結構いるはず。
そんなお話。

俺が小学生だった頃。
舞台はド田舎の、田んぼのど真ん中にぽつねんとある小さな小学校。
生徒人数も100数十人で、毎年必ず「近々廃校に・・・」って会話を大人たちがしていた。
そんな田舎にありがちな小学校。
生徒達はいつも、給食のメニューと生き物の世話当番。
放課後の天気とか短縮授業の日程ばっかりを気にしていた。
そしてもう1つ。季節限定だが、俺たちの話題はあるもので持ちきりになる。
「あの写真のあそこにさ、ほら、手が!」
「この写真足がない!」
「顔が写ってるんだぜ!」
そんな「何枚かあるおかしな写真」の話題。
修学旅行中に撮った写真は、親がが写真を買うための見本として学校の廊下に掲示される。
大量のハズレのなかから「そーいう写真」を見つけたやつは、もれなくヒーローだった。
そんなのを5年続けてきて、ついに俺たちのターンになった。
6年生になった俺たちは、「探す側」から「探される側」になったのだ。
もちろん俺たちも探すのだが。
修学旅行自体は無事終了。特に問題もなく楽しい旅行だったことは記憶にある。
(俺のデザートのシャーベットがなぜか溶けていたことが気にくわなかった。)
そして恒例の行事が始まった。
「そーいう写真」探しだ。
みんなこの日をそこそこ心待ちにしていた。
運動会以下。文化祭以下。お誕生日会以下。短縮授業以下。
揚げパン以下。ソフトめん以上。
それくらい心待ち。
生徒たちは、血眼ってほどでもないが休み時間になると一生懸命写真を眺めた。
「親孝行だね。」などと当時は意味が全くわからない台詞を何度か聞いたほどに。
そのうちにあちこちから
「この写真のあそこにさ、ほら、顔が!」
「この写真手がないぜ!」
「足が写ってるんだぜ!」
そんな俺たちが5年間続けてきた会話が聞こえ始める。
そんな低Lvなもんじゃない。もっとこう、刺激的なヤツ。
どうせ最後なんだからそんな物を期待していた。

続く