[鎧武者と子供]

今から15年前くらいになる話です。
当時私は、神奈川県のY市に住んでいました。
私が住んでいた神奈川県には、アテストと言われる高校入試への判
断材料になるテストを中学二年で受けることになります。
アテスト前の最後の仕上げにと、Uの両親が田舎に出かけている事
もあり 勉強に集中できると直前の休日に泊まり込みで勉強をするこ
とになりました。

私の友人Uの家の近所には、50M先にお墓、裏には神社、隣には木造
の廃アパート(誰も住んでいない) 街では有名な幽霊目撃場所にあ
りました。
U自身、何度も幽霊を目撃していると聞いていましたがUの家には何
度も遊びに行ったことがあり、別段変った事も無く全く気にしていま
せんでした。

二階にあるUの部屋で勉強をして時間が過ぎて行き、外出をしていた
Uの兄が帰宅し、夕食の準備の為Uは部屋から出て行き兄と夕食を作
りに行きました。
一人残された私は、朝から勉強をして疲れていたのかこたつにうつ伏
せになる形で、眠ってしまいました。
ガシャガシャと何やら音が聞こえてきました。
ふと周りを見ると、周りは薄暗く何も見えません。
何だろう?と考えてるうちに段々音が近づいてきて 私の背後で止まり
ました。

恐る恐る振り返えると般若のお面?をしたような鎧武者が 暗がりの中
立っていて、私に向かって刀を振り下ろしました。
うわっー!と目が覚め声をあげた事で、Uが私のもとに来て、事情を
聞かれ 夕食を食べながら、UとUの兄に夢の出来事を話しました。
話しながら、笑われるかなって思っていたのですが 二人の反応はそれ
とは全く違いものでした。

U達は私に、お前も見たのか俺達もその夢は何度も見てると私はこの時
初めて幽霊っているのかもと思い始めた矢先二人に背中を見せてみろと
言われ、何の事だと思いながらも 二人に背を向けると上着を捲られ背中
を見せると、ああ…やっぱりかと
何の事か分からない私は、二人に聞くと鏡を二枚持ってきて 自分の脊中
を見せてもらうと、ひっかき傷?のようなものが一本30cmくらいのもの
ができていました。

ゾッと血の気が引き、恐ろしくなった私は帰ろうと思いましたが二人がこ
の夢見た時に俺達もなっていたからもしかしてと思ったんだ。
だけどこの後、特になんかあったとか無いから、心配しなくてもいいよと
言われ 普段幽霊なんていねーよと言っていた手前、怖くなって帰ったと
思われるのも嫌だと、プライドが邪魔して結局予定通り泊っていくことに
しました。

今思えば、強がらずに帰ればこの後体験する更なる恐怖体験をすることも
無かったと思います。

その後、息抜きのためにゲームをして遊んでいました。
少しのつもりが、いつの間にか数時間…気づけば日付が変わり寝る前に軽く
勉強をして寝ることにしました。

布団に入ってから中々寝付けず一時間くらいだったと思いますが、ガシャガ
シャと夢の中で聞いた音が聞こえてきました。
やばいと思った私は、Uを起そうとしたのですが、体が動きません。
首が辛うじて動かせたので恐る恐る周りを見ると、私の両腕両足を布団の上
から小さな子供が押さえつけていました。
パニック状態になった私は、何とか体を動かしたり声を出そうと試みたので
すがまったくできず、怖くて目を閉じて南無妙法蓮華経とこれしか分からな
いので繰り返しました。
その間にも音は近づいてついに私の近くで音が止まりました。

続く