[回線一本の関係]

4年程前にとあるネットゲームで遊んでいたんだが、
そこで一人の女性と知り合った。
であった時点では女性ではなく女性キャラとした方がいいだろうか。

凄く気さくで可愛らしい性格で、自分とかなり気が合ってたので凄く仲良くなっていった。
知り合って数ヶ月経つと、彼女に淡い恋心(汗)みたいなのを抱き始めて、彼女の中の人の性別が気になりだした。
彼女に性別を聞くと、一応「女だよ」と言う。でもネカマ率高いゲームだったし俄かに信じられず、電話をしようという話になって
お互いの電話番号を交換。そして電話をかけた。
掛けても中々出ず、どうしたんだろうと思った時にやっと電話に出てくれた。彼女は、やっぱり彼女だった。
凄くおしとかやそうな声で、とても23歳には思えないくらい落ち着いていた感じだった。ゲームでイメージしていた通りだと思った。

電話をしてから、二人はあまりゲームにINしなくなった。
そろそろ飽きてきたというのもあるし、二人で電話で話している方が全然楽しかったからだ。
それから毎晩の様に、電話代も気に掛けずアホの様に話しまくった。
出身地や学歴、好きな異性のタイプや、男性遍歴女性遍歴(笑)などお互いのありとあらゆる事を教えあった。
俺は彼女の顔が知りたくなり、彼女携帯に送ってみる様頼んでみた。すると彼女は、ためらいながらもOKをくれた。
そして携帯に、彼女から写真添付のメールが届いた。
そのメールを開いて、ゾっとした。
メールに添付されていた画像は、彼女の眼だった。視点は少し上を向いていて、白目は赤く血で濁るように充血していた。
目の下にはクマが濃く浮き出ていて、涙の流れた痕?の様な物があった。
内心、とても不気味だった。
すると彼女は電話で、顔はやっぱり恥ずかしいから目だけ送ったとの事だった。
俺はあの写真の事はすぐに忘れようとし、それからもずっと電話で話していた。

ある日を境に、彼女はどこか様子がおかしくなっていった。
会話の内容はとても重く、声のトーンもまるで泣いているかの様な。
「私ってダメ、何やっても皆に嫌われる、普通の人を見ると私が否定される」
そんなような事を繰り返し、俺に言って来た。俺はただただ、そんな彼女の話を聞き止めていただけだった。
ある日彼女からメールが届いた。画像が添付されている。
その画像を開くと、俺はまたしても身が震えた。それは手首の写真だった。
ただの手首ではない。幾重もの切り傷があり、その一番上にはまだ血の気のある真新しい傷跡があった。
俺は急いで彼女に電話をかけた。彼女は電話には出たが、何かブツブツ聞き取れない音量で何かを話していた。
「何?聞こえないよ」俺がそう言うと彼女は「死ぬの」と言う。俺は何も言えず、彼女はもう一度「私死ぬの」

続く