[ノイズ]

予想以上にハイレベルな怖い話があるな・・・。
普段こっちの方の板に来ることはあんまりないけど、昨日怖い出来事があったんで報告。
つっても、他の話見てる限りじゃ、この話はお前らに取って足らんもんだろうけどな。
飽くまで主観で洒落にならんかったこと。

最初に断っておくが、これは実話だけど実話じゃない。
所謂、夢の話だな。夢落ちの話。
なにぶん初めて実際に体験したもんだったんで、正直ある程度時間が経った今でも怖い。

とりあえず前置きはこれくらいにして話の内容に入っていく。


昨日、夜中にふと目が覚めた。
辺りは真っ暗だったけど、いつもと変わらない自分の部屋だった。

寝る前にいつも付けてる音楽が枕元のアンプから大きくもなく小さくもない音で垂れ流れていた。
因みにアンプに繋がってるのは携帯電話。
いやー、最近の携帯電話って凄いもんだな。昔じゃ考えられん位に綺麗なオーディオプレイ機能があるんだ。
音質も特にあんまり違和感を感じないくらいのビットレートで携帯プレイヤーとして持ち歩く分には便利だし、
それに、MicroSDから音楽を読み出す形式だから結構大量に音楽入れられるしな。
入れておいた曲は普通の邦楽やら、ロック、懐メロ、演歌、クラシック、今昔アニソンと多種多様。

話がちょっとズレたけど、まぁ要するに寝ながら音楽聴いてたわけなんよな。
そのとき流れてたのがガオガイガーの曲で、丁度、最後のサビに入っていった。
「やっぱこの曲熱いなー」と思いながら、まどろんだ頭で曲を楽しんでた。
んで、最後の「ガ・ガ・ガ・ガ・ガオガイガーッ!!」で切り良く終わり、続いて短い後奏。

既にこのときから異変は起きてたようなことを覚えてる。
・・・・と言うのも、後奏の最初の方でノイズが入ったような気がしたから。
「あれ?」と思って、続く後奏を今度は耳を澄まして聞いてみたんだけど、再びノイズが入ることはなかった。

夜中だったし、この時点で若干怖かったけど、「気のせいか」と思ってその時は気にも留めなかった。
だけど、問題は次の曲だった。

ZARDの「星達のかがやき」が流れてきた。
この曲かなり好きなもんで、「お、良曲ktkr」とまどろみながらも胸が躍った。
んで一度寝返り撃った後に、これをBGMにしてもう一度寝ようとした。でも、寝られんかった。
意識がはっきりしていたって言うよりも、滅茶苦茶眠たいんだけど寝られない状態。
そうさね。丁度、意識が落ちる瀬戸際から一気に現実に戻される、更にまた意識が落ちる瀬戸際になって一気に現実に戻される。
それの繰り返し。

もどかしさを感じつつ、もう一回寝返りを打った。
・・・・その時だった。

―――――ジッ

「星達のかがやき」のBメロ辺りでノイズのような音が入った。
ビクッとして俺は体を震わせ、布団の中で体を縮みこませた。

―――――ジッッ・・・ジッ!

前よりも一層大きなノイズ音。
俺は布団を頭までかぶる。
心臓はバクバク音を立ててた。そのくせ体は鉛みたいに重くて、途轍もなく眠い。
身体からは発汗による蒸れを感じる。

―――――ジッッ・・・・ジジッ・・・・ジッ・・ジジジッ・・・・・ッッ!!

既に「星達のかがやき」は聴こうにも聴きがたいものへと変貌していた。
だけどこの妙な異音がやたら耳を離さなかった。
確かに身体は重かったのだけれど、動かせないほどではなかった。
ただし、腕だけがどうしても上がらない。耳を閉ざそうにも閉ざせなかった。
仕方がないので布団を更に深く被って、異音をシャットアウトしようとする。しかしそんなもの何の足しになっただろうか。

この時点で恐怖はマックス状態ギリギリと言ったところ。
それなのに、何故かは知らんが頭だけは妙に冴えていた。

やべ・・・・これホラーにありがちなアレじゃね?
大方、この後の予想は付いていた。そう。ちょっと前のホラーモノでよく見受けられた「アレ」である。

そして、その予想を裏切らずに・・・・・・

―――――ジッ・・ブツッ・・・・・ハッ・・・アッ・・・・・・アハハハハハハハハハハッッッッ!!!!!!

 け た た ま し い 笑 い 声 !

予想していたとは言えど、実際に耳にするとこれは強烈だった。
気付くのが遅かったが、このとき音楽を止めようと言う考えが思い浮かんだ。

そして、身体を起こす。
しかしその足元には。

仄かに輝く光があった。アンプから聞こえた声とは裏腹に何の変哲もない「光」だった。
―――――少なくともそのときそう思いたかった。

 実 際 は 大 き な 大 き く 口 を 開 け て 嗤 う 女 の 顔 だ っ た ん だ が 。


そこで、目が覚めた。
最初に目に映ったのは、陰影で黒く染まった天井。そして、いつも通りの自分の部屋の光景。

アンプからは夢であったようにガオガイガーの曲が流れていた。
夢と少し違うのは、最後のメロからサビに入る部分だったってことだ。

続く