[犠牲]

今まで親に話すの禁じられていたけれど、やっと引っ越すことができたので話します。
厨房の頃の話
その当時では中二病発症者(その頃はただのバカ)も少なく、
だから他の中学生から見れば俺は異端だった。
少ないとは言っても友人の内少なくとも3人はそうだった。
3年になっても中二病とれなかった俺たちの受験がせまった夏休み、
俺はずっと勉強ではやりきれないと思ったので、
3人を呼び集めて肝試しをすることにした。
みんな一言で「OK」だった。
だから、実行するまでの時間はほとんど無に等しかった。
内容はこういうもの

俺たちの地元では密かに囁かれるひとつの噂。
近所にあった山の奥には廃屋があり、その廃屋は昔宿だったらしい。
ただある事件を期にその宿にはだれも近づかなくなり、今に至る。
そして、普通ならそんなところ潰せばいいのにそうせず、
その事件もすぐに調査は打ち切られた。
噂はその廃屋には幽霊がいて部外者が中に入ると帰ることができないとか。

こんな俺たちにはもってこいのネタだった。

数日後待ち合わせ場所に集まった俺たちはすぐに目的地へと向かう。
途中は何も起こらず、無事に到着。
その廃屋は見れば見るほどぼろく、不気味なものだった。
なにも話さずすることもなく、俺たちは中へと入る。

悪臭悪寒、言葉では言い表せないような感じがする。
とりあえず上から下へとへやの中に入ることにした。
二階の部屋は左右2つずつあり、まず左手の方から中へ入ることに。
廊下はほこりまみれで俺たちの前に誰かが来たとは思えないほどだった。
部屋の中も大して変わらず、変わっていたらその場で逃げ出していただろうけど……

左手の2つの部屋は特に変わったところはなし。
机と物置、タンスみたいなのが置いてあるだけで、
部屋に入るときも出るときも異常はなく引き出しの中も全部空であった。
右手の部屋も外見は特に変わったところはなし。
ただ、たんすの中からぼろぼろの紙束と筆と墨が入ってあっただろう容器が見つかった。
紙には日付のようなものとその下に文章がずらっと。日記だった(おそらく)。
※以下、日記の内容はかなりうろ覚えのものです。日付は忘れました。
 読めない漢字、汚い字なんかあったりで自分で補完したりしてます。

1枚目
 昨日、私の泊まる宿にナイフを持った者たちが入ってきた。
 部屋にあるものは全て盗られ、宿から出してもらえない。私たち一体どうなるのだろうか。
 胸にしまってあった道具で状況を説明していこうと思う。
 誰が読むか分からない、しかし読んだ者は私たちを助けてくれ。

2枚目
 皆、一階に集わされている。最初に襲ってきた者の半分が姿を見せない。
 宿主以外の女が全員連れて行かれた。

3枚目
 同じ部屋にいた○さん(読めない)が相手2人に殴りかかり殺された。
 同じ日に2人は私たちの半分を殺してしまった。これを書き続けるのもそろそろ限界かもしれない。
 まだ三枚だが多く書いたように思ってしまう。次ぎあたりに私の願いを書いておく。

4枚目
 宿主二人は2人と何かを話した後、宿から出た。さっきから2人の表情が笑っている。
 宿主が帰ってこない。もう夕暮れなのに。殺されたのか、逃がされたのかは私に分からない。
 2人は 宿から出るな と命令すると宿の外に出た。今しかない、願いを書く。
 私たちは殺されるだろう。確実に。昨日はたくさんの人が殺された。
 おそらく、今日は全員。
 その者たちは何らかの形でここに来た者を傷つける。
 だから、それを阻止するからここに来い。

と言うものだった。

続く