[徘徊]
前頁

マジで債権者が侵入してきたんだと思った。
そんぐらいハッキリ見えるオッサン。
でも、生きてる人間とはちょっと違った。うまく表現できないけど幽霊だってわかった。
頭に浮かんだのは(自殺)競売物件だったし。
気付いてないふりして、そーっと忍び足で1階に降りたよ。触らぬ神になんとやらだし。
俺は、(見える)けど(はらえる)わけじゃない。
はらう力があったとしても方法を知らない。それに、他人の家でたまたま遭遇した幽霊をはらうなんて、幽霊にしてみりゃ迷惑な話だ。
とにかくTさんの帰りを待つしかなかった。
(おもしろいもんって、多分アレだな…)とか考えながら一度読んだヤンジャンを何度も読み直してると視線を感じた。
Tさんか?と思い振り返ると…

オッサン下りてきやがった。

オッサンから目が離せなかったよ。でも、どうやら気付いてるのは俺のほうだけ、オッサンは気付いてないみたいだった。
ずーっとオッサンを眺めてた。最初の印象は、オッサンが何か探し物をしてるんだと思った。
でも、どうやらオッサンに目的はないみたい。俺にも全然気付かずに家中を徘徊してる…
例えるならSIRENの前田父って感じ。
前田父と違うのは規則性がないことかな?階段と玄関の間をふらふらしてる…だけ。
なんか漠然と(無害かな?)って思ったんだが得体の知れないものはやっぱり怖い。
そんな状況でも逃げ出さなかったのはオッサンよりTさんが怖かったからだな…

オッサンから一瞬たりとも目を離せなかった。
だって、ちょっとでも目を離したら次に後ろ振り向いたときに超近くにオッサンの顔が((((;゚д゚)))!とかいろいろ考えちゃって…
そんな状況が1時間ぐらい続いたかな?
人間ってのは適当なのか、それとも防衛本能なのかわかんないけど、緊張が続くと寝ちゃうのねw
酒のせいもあるかもだが…
目が覚めて部屋を見渡したら、もうオッサンはいなかった。
時計見たら3時くらいだったかな?
時間確認した瞬間、再び背後に気配感じた。

振り向いたら階段からオッサン下りてきた…

ずっといたんだorz…
自分が寝てる間にもオッサンが家中を(自分のいる部屋も含め)徘徊してたかって考えたら全身鳥肌立ったよ。
相変わらずオッサンは徘徊するだけだった。
次に2階に上ったのが最後で、オッサンが下りてくることはなかった。
今度こそ怖くて眠れなかったよ…
5時頃になって外が明るくなるのを確認したら少し安心して眠りに就いた。

結局、Tさんは昼頃帰ってきた。酔っ払ってたよ…
俺が昨夜のオッサンの話をすると『忘れてたw』って…
あらためて幽霊よりTさんが怖いって思ったよw

俺が『あのオッサン、ここに住んでた人ですか?』って聞いたら、住んでたオッサンは普通に生きてるよってさ。
『じゃあ、なんなんすか?』って聞いたら…
『知らねーよ!貧乏神じゃね?』って…
『貧乏神ってw』って笑ったんだが、ちょっと考えたら(なるほどな…)とも思った。

幽霊?と一晩過ごしたのは後にも先にもこの日だけ。どうせならオッサンじゃなくて美人の幽霊がよかったよ('A`)

携帯でぽちぽち長文打つの疲れるねw
親指折れるわw


次の話

Part191-2menu
top