[将棋倒し]
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 「だいじょうぶじゃぁなかったんだよぉ。」
子供達が、俺の周りにいる。
悲しそうな目で、俺をみている。
 「ごめんなぁ、みんなここのことなんて、気が付かなかったんだ。」
 「大人達のこと、責めないでやってくれるかい?。」
 「こうなったのも、止められなかったのも、」
 「俺達大人のせいなんだよ。」
 「ほんとうに、ごめんな。」
 「ほんとに・・・。」

 「寒っ」
あれ、?  どこ、ここ。
俺は、舞○駅のベンチで寝ていた。
 「おおっ、気が付いたぞ。」
 「心配したぞ、お前。いきなり倒れやがって。」
 「大丈夫?。」
 「飲みすぎじゃ、お前。」
仲間が缶コーヒーを差し出した。
 「って言うか、なんで舞○駅?。」
 「いや、タクシー拾おう思てなぁ。」
 「さっきなぁ、」
 「ん?なんやぁ。」
 「いや、なんでもない。ちょっと飲みすぎた。」
 「そうじゃ。帰ろ。」

俺は、さっき起こったことを、仲間に言えないまま家路についた。
その夜は、死んだ様に眠った。
 次の日、出勤した俺に、後輩がこういった。
 「先輩!、どうしたんですか、そのアザ。」
何ぃ。アザってなんだ?。
 「どこぉ。アザってぇ?。」
 「腰のところですよぉ、ほら。」
鏡をあてて見て、俺は凍りついてしまった。
 
 そこには、くっきりと子供の手形が残っていた。

 あれから、もう半年以上たつが、いまなおはっきりとそのアザは
    俺の背中に残っている。なにかを言いたそうに・・・。

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