「うぐっ。」
「苦しいよ。」
「苦しいって。」
「お兄ちゃん、苦しいよね。」
「えっ。」
子供の声だ。
なにか、周りの空気が、すごく暑く感じられた。
「おい、なんか子供の声せぇへんかったかぁ?」
「なにを言うとんねん。もうギブアップかぁ?」
「いや、そうじゃなくて。」
暑い、ものすごく暑い。まるで真夏のようだ。
「はっ。」
俺は、周りを見て驚いた。
歩道橋一杯に人が、ひしめき合っている。
まるで、あの日のように。いや、あの日だ。あの日なんだ。
俺は、あの日の歩道橋にいる。
「ぐわぁぁぁ。」
物凄い力が、身体にのしかかってくる。
「苦しいよ、苦しいよぉ。」
ふと、下を見ると子供が人の体に挟まっている。
「すみませーん。子供がいますぅ。」
「押さないであげてくださーい。」
声をふりしぼって、叫んだ。
どおぉぉぉぉぉぉぉ。
凄い地鳴りと共にいままでの倍ほどの力が、かかってきた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ。」
周りの大人たちも、悲鳴をあげている。
くそ、なんとかならんのか。
歩道橋の外に、目をやった。 警察官が見える。
「おーい、なにをやっっとんじゃ、ここなんとかせぇ。」
くそ、こんなときに交通整理なんかしやがってぇ。
誰だあいつは。 あっ、 俺だ。
俺がいる。いや、おれはあの日ここにはきてないんだ。
ほかの所で、飲酒検問をやっていたんだ。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ。」
圧力が強くなってきた。子供たちは大丈夫なのか?。
続く