[温泉旅行]
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1人になった姉は、 じっとしていました。
下手に話し掛けたりすると、この手の霊は図に乗って悪さをするのだそうです

でも、「せっかく休みを取って、温泉に来て。しかもまだ温泉にも入っていない。」事に気がついた姉は無性に腹が立って来ました。(姉、短気です)
「でも相手をしたら、やばいよな〜。この男」霊にも男女があるそうです。
そうこうしている内に、友人2人線香とお菓子、それとなぜかろうそくを
かかえて帰って来ました。(コンビニは便利だね!)

友人A,B「大丈夫だった?買って来たよ!」
姉「じゃあ、線香を焚いて。それと床の間にお供えをしてくれる。」

部屋に線香の煙がたちこみ出したころ、姉の両肩が「すうっ」と軽くなりました。
「今すぐ、荷物をまとめて出る準備をして。それと私の荷物もお願い、今
動けない。」

姉は見ていました。後ろに居た男の霊が部屋のなかをぐるぐるまわりはじめた
事を、その男の着ている背広は襟が広い今ではだれも着ないような古い
スタイルだという事も。
その男は、首をうなだれながら部屋の中を歩き回っています。

姉「これは、やばすぎだな。」その男は、引っ張る霊だったそうです。
引っ張る→生きてる人間を取り込む、というか自分と同じ目にあわせたいと
思っている霊?精神状態によっては”同化 ”する事もあるそうです。

友人がロウソクに火を付けて床の間に備えました。
そのロウソクの火は「まんまる」な形をしています。
中学生の頃、姉は「映画とかで、幽霊が出る時には、ろうそくほ火がゆらゆらしたりするけど、本当は違うんだよ。」と言っていたのを思い出します。

男も歩き回る事に飽きたのか、床の間のお供えに気を取られたのか、
床の間の前にじっと立ってます。

姉「この部屋出よう、今すぐ!」反対する人いません。
フロントでチェックアウトして、車に乗り込み今朝来た道を戻りながら、、、
「なんだったの?」姉「よくわかんないけど、あの部屋は集まるところみたい、でもほんとーにやばかったよ!」

全員、残りの有給休暇は自宅ですごしたそうです。

おしまい。

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