[理不尽な恨み]
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一時間ほどした頃だと思います。
夢の中で私は主人に抱きついて寝ていました。
そうしているとダブルベッドの足元のほうから誰かがベッドに入ってきました。
そして、私を挟んで主人の後ろに横になりました。
その時は何も危険を感じませんでしたので「久しぶりにきちゃったなー」
ぐらいに軽く考えていました。
するとその人物はいきなり、私が主人の背中に回していた両手の手首をガッと掴みました。
凄い力で振りほどけません。
主人の肩越しに顔が見えました。
女です。
真っ白い顔、取り乱した長い黒髪、憎しみをはらんだ目。
一気に恐怖が襲いました。
「これはヤバイ」と判断した私は本気ではがしにかかります。
(ちょっとコツがあって振りほどいて弾く事ぐらいならできます)
その時、間違いなくこういったのです。

「お前がまた妊娠したら子供を殺す」
と・・・
私はここで押されたら本当にまた妊娠しても子供が殺されると直感し、
「そんなことをしたら、私はどんなことをしてもお前を殺してやる!!!」
するとそいつは、小虫の群れが散らばるように消えていきました。

そして、私は朦朧として目覚め、薬と恐怖と疲労で回らない口で、
隣にいた主人に塩と水を準備させ、塩を一口舐め枕元に置きました。
これはやはり霊感体質の母に教わった方法です。

そして、何故、生霊だと感じたかというと、勘です。
たぶん、元カレの今の彼女でしょう。
そういうビジョンが腕をつかまれていた時、脳内に入り込んできていたので。
死霊なら「殺してやる」で引き下がるわけはないですし。
ただ怖いのは、生霊である以上、相手が生きている限りまた来る可能性があるということ。
その後、一睡も出来ず今に至ります。


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