[火葬場でかくれんぼ]

今から20年位も前の話だが、
車のドレスアップが盛んな時代、
俺もエアロパーツを組み毎日のように市内を流していた。

そんなある日、俺は友人を誘い、夜10時頃からナンパ目的で、
繁華街をいつものように自慢の車で走っていた。
この日は平日で雨もパラついていたせいか、
女の姿もなく、しらけた夜だったので帰る事にした。

助手席の友人の家は○町だったので、友人を送る際に観光名所の○○○の近くを通る。
ごく稀に深夜にもかかわらず、夏場は観光できた女性の二人組など何度か目撃していた事もあり、
○○○の前を通るのが習慣になっていた(一度も成功したことはない)。
諦めムードでその前を通ると、一人の女の人が歩いていた。

観光客ではないのはわかったが、
友人が声をかけ、「観光?」と問いかけた。
すると可愛らしい笑みを浮かべ「違うよ」と答えた。すごく可愛い女の子(18才位だと思う)。
物騒だから家まで乗せていくよと言うと、車に乗って来た。

「まだ時間ある?」と聞くと大丈夫と言うので、
○○山や○○岬などお決まりコースをドライブし、
午前1時を回っていたので、彼女を送り届けるため、
家の場所を聞いたが、彼女は火葬場で「かくれんぼしよう」と言って来た。
(火葬場は○○山の麓にある。)とんでもない事を言うなと思ったが、
ツーショットになれるかも?と下心もあり火葬場へと向かった。

やがて火葬場に着くと、
この女の子は、いきなり後部ドアを開け車から降りた。
そして、「私が隠れるから、あなた達100数えたら私を捜しに来て」と言って、
一人で火葬場の方へと歩いて言った。
(今では新しい火葬場だが、当時は古くて、渡り廊下もあり不気味な建物だった。)

俺たちは、恐さより下心が優先し、余裕だったのが一転、
「随分度胸のある女だな」と友人と話し、一応100数え二人で捜し行った。
五・六分捜したが見つけられず、大声で「帰るから出て来い。」と何度も叫んだが出てこない。
俺たちはハメられたと思い、おそらく、少し離れた民家の娘なんだろうなと二人で解釈し車に乗った。


続く