[妹怖い]
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3回目は未だに縫い傷が残る膝の怪我だな。
家の裏に私と同じ年の男の子と、その男の子の妹さんがいたんだ。
その二人と私と妹が公園で遊んでた。

妹がブランコに乗ろうといい出した。
私はそのブランコが苦手で、でも馬鹿にされるのも嫌で渋々ながら乗った。

そのブランコなんだが4人乗りで、こぐと四角いブランコが徐々に菱形になるようなタイプの奴だ。
足を下手に投げ出していたら挟まれてしまうから、気をつけないといけない。
私は少しビビりながらもブランコに乗って、妹はブランコを思い切りこいだ。

ガタンガタンッと壊れそうなくらい妹はブランコをこいだ。
私は涙目になりながら「やめて!」と叫んだ。
裏の男の子もその妹さんも同様だ。

でも妹はやめない。馬鹿みたいに体を左右に揺らしてブランコをこぐ。
その目は宙を睨んでいた。あの目だ。
これはやばいと思いブランコから飛び降りようとすると妹に腕を掴まれた。
ブランコに引き戻された私は足をばたん、と挟まれた。

ズボンが破けてそこから裂けた肉と白いものが見えた。骨かもしれない。
脂肪みたいな白くて黄ばんだものも見えた。
顔を青くした男の子と妹さんは「大人の人呼んでくる」と家のほうまでかけてった。

私と妹は公園に二人きりになった。

キィキィ、ブランコが軋む音と押し殺すような笑い声が聞こえた。
妹だ。妹が私を見下して笑っている。
あの笑みは本当に怖かった。
目は見開いているけど虚だし、でも顔全体の筋肉を使っていびつに笑う。

こいつと二人はやばい、と思って私は立ち上がって、痛む足を引きずり歩き出した。
亀よりもかたつむりよりも遅い歩みだった。
その後ろをのろのろと一定の間隔を保ちながら妹はついてくる。
とても楽しそうに、愉快そうに笑みをたたえながら。
妹に追いかけられながら私は家までたどり着いた。
もちろんすぐに病院に行き、処置を受けた。
ただ肉が裂けて骨がちと除いただけで、骨などに異常はなく、今でも不自由なく歩ける。

どうしてこうなったのかと聞かれた妹は無邪気に笑って、

「お姉ちゃんがブランコから落っこちたから引っ張ったの。助けてあげたの」

そう言ったそうだ。


私は着替える時、トイレに行く時、風呂に入る時、膝に残る傷をみていつも妹のことを思い出す。
そして今度はいつどんな方法で妹が私に恐怖を与えようと計画しているのか考える。
次は本当に殺されるんじゃないかと、本当に怖くてしかたがない。

しかし今は妹は東北、私は両親ともに都心のほうにいるので安心していたのだが、


今年の夏休み、こちらに遊びにくるそうだ。
オワタ\(^O^)/


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