[登れない階段]
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ツタを取り払おうとする・・・が、今度は階段の方から大きなベニヤ板らしいものが自分の体に
倒れかかってくる・・・薄いのでこれも払おうとするが、何か次々板が階段の上から倒れてくるようだ・・
板のせいでかすかな光も見えなくなりつつある・・・
とうとう幾重にも重なるベニヤ板と絡まるツタのせいで、仰向けに倒れてしまった・・・

・・・苦しい・・・重い・・・呼吸が出来ない・・・暗い・・・

・・・ここで死ぬんだ、そんな気がした

・・・あぁ、階段を・・階段を、登りたかったのに・・・

ここで目が覚めた。夢だった。
9月中旬とはいえ肌寒い山間での深夜、車内で汗だくになっていた・・・
午前2時20分、先輩はよく寝ている。
あの夢は何なのかというよりほぼ確証がその時点で、あった。
怖い、とは当然思った。が、行かなくてはという気になった。
先輩をそっと起こし、次の巡回は自分一人でするのでと告げ、待機所から車を走らせ病院へと向かった。

病院の外観は先ほどと変わりなかった・・・
順路どおり内部へ入館。
2階の確認を終えた。ここで順路通りではない、階段を探してみる。
配置図通り、階段はあった。そのまま降りていく。幅2mもない狭い階段。足元を懐中電灯で照らす。
踊り場がある。窓から川が見える。
1階に着いた。ここで1階を巡回しなければならない。が、そのまま地下へ降りてみる。
1階と地下の間の踊り場・・・窓ガラスがベニヤ板らしいもので外から封じられている・・・
(本来地下に窓があるはずはないが、後で外から確認したがここは斜面にある建物なので窓があり、
すぐその下は地面になっていた)
日が昇ると光がさすのだろうか・・・
そして、地下へと降りて階段を見上げて懐中電灯を照らす・・・

・・・光はさしてないが、夢と全く同じ光景・・・

・・その後の事はよく覚えていない。
それから、俺は一人立ちして機械警備に当る日々を送る事となった。
が、ことごとく、俺には事故と事件が付きまとった。
強盗、殺傷、暴力、交通事故、機械の故障・・・
こんな仕事だから当たり前と言えばそれまでだが、その起こる頻度が並ではなかった。
次第に自分と同じ勤務になるのを避けようとする同僚も多くなり、仕事はうまくいかなくなった。
結局、1年しないで俺は仕事を辞める事になった。

呆然とした日々を過ごしながらも、
俺はこの1年余りで起こった事が何だったのか知りたくなった。
確かに自分の不注意などの事故もあったが、何か釈然としない・・・
俺はある占い師を尋ねてみた。

占い師にこの1年の事、夢のことも話した。
占い師はかなり躊躇ったが、言った。
 
 「何か・・・行ってはいけない場所に行ってしまいましたね。
 あなたの人生、今後も不幸が重なってくるよ。
 その夢は、あなたの今後の人生を暗示してたんだよ・・・」

占い師から、今の境遇を変えるという方法は教わった・・・
毎日それを実行している
が、変わらず他の仕事に就いても俺の身の回りには、次から次に不可解な事故や事件が起こる・・・
正直、もう生きる気力がない・・・
何故俺がこうならなければならなかったのだろうか・・・?


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