[秋のある日]

その洞窟にはカビっぽい空気につつまれた祠がある
その祠での話。

自己紹介:僕は凪月、フリーな大学二回生さ!

神無月のとある休日、仲のいい友人と海辺のキャンプに行った。
九月の中頃から誘いを受けていたからだ。キャンプなんてしたことなく楽しみですぐにOKした。車もテントも友人任せ。そんな大した準備も必要無かったから気軽に了承したのかもしれない。
キャンプ当日、最寄りのコンビニで待ち合わせをした。午後三時に迎えに来る予定・・・・・・・だったが大幅に遅刻して四時に来た。車の所有者の母が直前まで車を使っていて引継ぎで色々手間取ったらしい。
内心『今日、車借りるのわかってたら間に合うように車譲れよ』とか思っていたが、当然乗せてもらう側としてはそんな事言えないし、笑ってごまかすしかなかった。
車の中ではヒヨコの人形が散りばめられていた。『なんてファンシーな母親だ』そんな事思っていたら、考えを読んだように「父さんの趣味」と言ってきた。かなり苦笑いだったけど笑顔でごまかした。

目的地まで約二時間、買い物した時間も合わせたら三時間かかった。買い物は、主に食品・雑貨だった。友人はドライアイで目薬必須らしいけど切らしていたみたいで、お気に入りのメーカーのを買っていた。
車は快調な走りをみせ何事もなく目的地に着いた。海辺でキャンプってのは聞いていたが、予想と違い本当に海辺、砂浜だった。
『夜の砂浜、女の子が相手ならなんてロマンチックだったんだろう』と、つまらない事考えつつ「どこにテント張るの?」と聞いてみた。返事は返ってこない。心なしか笑っている気がする。
しばらくしてその友人、アッシーが口をひらいた。「実はね・・・・」返事を聞いていて「なんてこったー」と自分のデコをペシっと叩いていた。

九月初旬、ドライブしていた時にトイレへ行きたくなった。けど道なりに進んでもトイレを無料で借りられそうな建造物が無く、丁度よくひっそりとした砂浜を見つけ立ち寄った。その時に、少し先に洞窟が在ることに気付き、そこに入ってみたいと思ったらしい。
それで今に至ると、、、
聞いてもいないのに「あの辺りで小便したんだ」っと嬉しそうに言ってくる。
『いい迷惑だ。そんなどうでもいい事に付き合わされているのか。ってか「一人で入るのが怖かったから誘ってみたんだ」ってキャンプの目的に洞窟探索が入ってるなんて知らないよ!』とか思いながら、「あははー、面白そうだね」って言ってみたりした。
そしたら、「でしょ!だから洞窟の中で寝てみたいなぁーとか思ったりしてテント持ってきてないんだ。もちろん寝袋は持って来てるし毛布も在るよ!それとたぶん使えないけどハンモックも用意しました!えへへぇ」アッシーは凄く良い笑顔だった。
『と言うかそれキャンプじゃねーよ、野宿だよ!』ってツッコミたかったけどあえて「用意周到だね」とだけ言って焼肉の準備を始めた。
僕が焼肉の準備をしている間、アッシーは携帯ゲーム機に脳年齢計るソフトを入れてやっていたが「これって嘘っぱちだよね」っと終始僕に話し掛けてきた。半年位前に買って未だに年齢が毎回30歳前後らしい。
言っておくが年齢は僕と一緒だ。正直「脳のシワが少ないのかな?」と遠回しに馬鹿にしてやれたけど「僕も前やった時、40歳くらいだったよ」っと、やったこともないのに嘘をついてアッシーをフォローしといた。その時の僕の心境『知らない方が幸せな事ってあるよな・・・・』
そんなこんなで明らかに温度差のある僕ら二人は、仲良く肉を取り合った。酒もあったがとりあえず洞窟探索まで平常心でいたかったので、飲まずに肉を食べることに集中した。
アッシーは、僕が食べたくて買ったきたツマミを隠れてチビチビ食べていた。(ツマミが無くなっていたのに気が付いたのは帰りの車の中

続く