[邪教]
前頁

荒事にはかなり慣れているが、憑物のついた人間を見るのはその時が初めてだった。
かなり異様な雰囲気だった。
上着を脱いで女が抱きついてきた。
唇の端からよだれを垂らした口でキスしようとしてくる。
女はかなり可愛い顔立ちをしていたので普段なら喜んで相手をするところだが、今はそんな事をしている
場合ではないし不気味な歪み方をした女の表情に欲情できるものではなかった。
しかし、俺の体は理性とは裏腹に激しく勃起していた。
しかも、醒めた理性とは別の所で激しい性欲が起こっていた。
憑物から身を守る方法を知っていたから、俺は激しい性欲が自分の物ではないことに気付く事が出来た。
しかし、普通の男なら、例えば外にいる空手屋だったらたちまち性欲に飲み込まれて、
布団の上で女とSEXを始めていたことだろう。
少なくとも、以前の俺なら大喜びで女の体を貪ったはずだ。
女は何度引き離しても抱きついてきた。
俺は柱時計を見た。
時間は4時40分を過ぎたところだったか?
俺は女を押し倒し袈裟固めで押さえつけた。
・・・6時少し前、儀式は終わった。

いつの間にか、女は動かなくなり微かに寝息を立てていた。
母親もベッドに横になっていた。
外から朝日が入ってきていた。
襖の外には汗をびっしょりとかいたマサさんとキムさんが立っていた。
マサさんが「おっ?女とヤラなかったんだな。偉いぞw」
「女癖の悪い男だと聞いていたけれど、なかなかどうして、がんばったねえw」とキムさん。
「ふん。合格だな」
どうやら、今回の仕事は俺のテストを兼ねていたらしい。
この時を境に、俺は借金の取立てや、飲み屋のホステスや風俗嬢のガードではなく、
キムさんやマサさんのアシスタント的な仕事をするようになった。
結局、俺の運命はマサさんのところで修行をしたことで決定的に変ってしまっていたのだ。


次の話

Part180menu
top