[邪教]
前頁

「思い当たる事はないか?」
・・・泥団子?・・・あっ!
思い当たる事があった。
マサさんの所で聞いた、財運など世俗的な欲望を叶えるかなりヤバイ外法の話を思い出したのだ。
仏像や経本(聖書など)を焼いた灰を糞尿と畜生の血に混ぜて、土と練り合わせたものを1万人の
人間に踏み付けさせて作った粘土で仏像を作って礼拝する呪法があるのだ。
一旦礼拝を始めるとあらゆる幸運が訪れるけれども、礼拝を1日でも欠かすと一家を滅亡させる
という禁呪だ。
話だけなら他でも何度か聞いたり読んだりしたことのあるものだ。
俺がこの屋敷の仏間に入った時に感じた箱から仏壇へと流れる嫌な気の流れは、泥の呪法が
集めた「運気」を仏壇の偽本尊が吸い取る流れだったのだ。
「かなりエゲツないやり口ですね」と俺が言うと、
「俺らしい仕事だろ?使われた灰は・・・盗み出してすり替えた古い信徒の家の本尊だな」と
マサさんは言った。
「儀式は?」
「本尊と禁仏の力が共に最低なるのは明後日の晩だ。次の一致日は半年以上先だ。
チャンスは一度きりだ。キッチリ押さえてくれ」

そして儀式の晩。
俺は女と女の母親のいる寝室の前で安全靴を履き、手にはサップグローブと呼ばれる200g程の
鉄粉の入った皮手袋を嵌めて警戒に当っていた。
夜明けまで侵入者を排除して儀式を行えば仕事は無事終わる。
午前零時に始まった儀式は3時を過ぎて半分が終わった。
安心しかけていた3時30分ごろ、屋敷の外から人の争う怒声が聞こえた。
屋敷に侵入しようとした男が邸外で待機していた空手屋たちに捕まったらしい。
近所の住民が通報したのだろうか?
回転灯の赤い光が外から僅かに入って来ていた。

仏間の儀式は佳境に入ったようだ。
外の騒ぎも収まったようなので女と母親が寝ている寝室をのぞいてみた。
襖を空けた瞬間、俺は異様な気配を感じた。
寝たきりのはずの母親が介護ベッド上で上半身を起こしカッと見開いた目でこちらを睨み付けている。
ベッドの横の布団の上では女が体をクネクネとくねらせていた。
女の寝巻きがはだけて形の良い胸が棗球の明かりに照らしだされた。
下穿きの股間には大きな染みが出来ていた。
かなり長い時間、自慰に耽っていたようだ。

続く