[空飛ぶ円盤]
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幸いなことに周りは原っぱの部分がかなり残っていたので、
私たちは見つからずに離れたところまで行くことができた。
「ごっつい音やったな」、「マンホール、よーさん飛んだなあ」
「まっくろけの煙、まだ出とるで」と四人が目を輝かせて、いま
起こった出来事を話し合っていた。私だけがわんわん泣いていた。
そのうち、消防車、救急車、パトカーがどんどん来て、辺り一帯は
騒然とした空気に包まれた。

「おまえ、家に帰っても絶対にこのこと言うたらあかんで」
とみっちゃんに何度も何度も言われてから家に帰った。結局、
周りの住宅に被害がなかったことや負傷者が出なかったことから、
原因不明の事故ということで終わったそうだ。そして、その原っぱも
さっさと造成されて、ビルが建ったとのこと。もう随分昔のことなのに
、鮮明に記憶が残っている。大音響、そして、真っ黒な煙が立ち上る中、
マンホールのふたが飛び、みっちゃんに手を引かれて一所懸命に走ったこと…。
以上、私の幼いころの死ぬほど洒落にならない話でした。

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