[空飛ぶ円盤]

小学生のころ、近くの原っぱが次々に造成地へ変わっていった。
どんどんアスファルトの道路ができた。当時のマンホールには
小さな穴が開いていた。導火線の長い爆竹に火を付けて、その
穴の中に落とすのが仲間内で流行ったことがあった。爆竹を入
れてからマンホールに耳を当てて、音を聞くのだ。ある日、悪
友だったみっちゃんが「ごっついええ音するところがあるねん
で」とまだ造成の終わっていない原っぱに私を連れていってく
れた。

背の高い雑草をかき分けて歩いていくと、急に地面が
コンクリートになっているところに行き着いた。少し
違う形をしたマンホールが3m間隔くらいに5つ並ん
でいた。「ほれ、入れてみ。ここはマンホールに耳を
当てんでもええで」と言って、爆竹に火をつけてくれた。
「どん」とかなり体に響く音がして、マンホールが少し
動いた。「どないや、すごいやろ」とみっちゃんは誇ら
しげにしていた。しばらく二人で爆竹を入れて遊んでいた。
そのうち、みっちゃんの顔がぱっと明るくなった。

「お前、よしくんとのりちゃん、呼んでこい。わいは
さとる連れてくる」と言って、みっちゃんは自分の家
へ走っていった。内心では「これ、絶対にあかんこと
になる」と思いながらも、気の弱い私は二人を呼びに
行ってしまった。よしくんものりちゃんもさとるも大
喜びだった。そして、全身が笑顔になっていたみっち
ゃんは「みんなで一緒にいれるで〜」と言って、どこ
から持ってきたのか、マッチを私たち4人に配った。

続く