[何もしない幽霊]前ページ

そんな事があった日から数日後。
いつもの様に麻雀の誘いの電話が入り、友人宅へ向かっていました。海岸沿いの
道を通りかかった時、先日の女の人が同じ位置に立っています。
「また居るのか」と考えた程度で、前回無視された事もあり、その時も素通りして
友人宅へ向かっていつものように麻雀を楽しみました。
空が明るくなり始めた頃に帰宅したのですが、やっぱりその女がいつもの場所に
居ます。無視して通り過ぎたのですが、なんだか妙に気になって海岸まで戻って
きました。
「もしもし?何してるんですか?」
「こんな所で一人でいると危ないですよ?」
色々と尋ねてみましたが、やっぱり無視されます。2回目なので、頭に血が上って
いたらしく、その女の人の肩を叩いてみようと手を伸ばした時!
女の人の肩を、叩こうとした手が通り抜けてしましました。ビックリして、
その場を猛ダッシュで逃げた事は言うまでもありません。

それから、友人宅へ遊びに行くのに夜その道を通る時は必ずその女の人が立っている
ようになりました。
その友人は怖いもの見たさもあり、その幽霊(女の人)をよく観察するようになった。
幽霊は足が無い・・・・いや、しっかり2本足がある。肌も人間のようだ。よく見ると
産毛まである。
なんだかんだで、興味は「観察」から「気付かせる」に変わり、あの手この手でその
幽霊を動かそうとしてみたらしい。
幽霊に殴りかかってみたり、棒を振り回してみたり。目の前で変な顔して笑わそうと
してみたり。ありとあらゆる手を考え実行してみたが、やっぱりその幽霊の目は虚空
(海の先)を見たまま、体も微動だにしません。
そんな日が何日が続き、いい加減もう飽きてきた(止めようか)なぁと思い、何気な
しに幽霊の顔を覗き込んだその時。
虚空を見つめていた目が、不意にその友人をギロッっと見た(目が合った)。
「!!!」
これはマズい!と直感で思い、その場を速攻で逃げ帰ったそうです。

そんな事があった数日後、いつもの様に麻雀の誘いがあり、なんだか嫌だなぁ
と思いつつも、その後どうなったのか気になり、海岸沿いの道を通って友人宅に
行く事になりました。
海岸に差し掛かった時、例の幽霊の姿が見えません。
「居なくなったのか」
と、ちょっと安心してその日はいつもの様に麻雀を楽しみ帰宅しました。
「さて、寝るかな」と布団に潜り込んでウトウトしていると、人の気配がします。
因みにその人は一人暮らしで同居人は居ません。

続く