[山小屋に住み着くモノ]
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Bは「ありえん・・。ありえんやろ・・。」と泣き声を上げながら逃げていた。
小屋からかなり離れたところで足が遅いAを待つ為に全員がとまり、
Aが「はぁ、はぁ。ちょっと、ちょっとまって。」と言いながら追いついた。
そこで、全員が再度息を整える為に少し休んで居ると
Bだけがボソボソと「まゆみって誰なん、誰なん。まゆみって何なん。」と繰り返す。
さすがに俺も怖い為に「おい、今はそんなん言うなよ。後で話し聞くけん。頼むけ、今は言うなよ。」
と言うもBはずっとボソボソと独り言を続けていた。その後、息も整い少しずつ落ち着きを取り戻し
山を下る事に。下りながらも後ろが気になり、少しの音にも敏感になっていた。
さらに下って行くと道の端に地蔵があり、下の街の光も見え始めた。
下の街の光が見えてかなり安心感を取り戻した俺達は地蔵に
「呪われませんように」という願掛けの為に皆で立ち止まり手を合わせていると
「それ、地蔵じゃないんやね?。」と友人のDが言った。
「それ、地蔵やけど、守護系じゃないんじゃね?」とオドオドしながら言い出す。
「え?知らんけど、地蔵って何かを守ってくれたり厄除けになるんやないん?」と聞くと
「たぶん、厄除けとかにはなるかも知れんけど、これ身代わり地蔵なんかね?大丈夫なんか?」と言いながら
Dは少しずつ後ずさる。「なんか、怖がらすなや。十分びびったやないか。」とAがDに怒鳴ると
Dが「それ、足切り地蔵やん。足の付け根から切られとるやん。」と言ったときに全員が一斉に地蔵の足をみる。
確かに右足の付け根が不自然になくなっている。その横に立っていた数本の風車がいきなり吹いてきた風に反応し
カラカラと回りはじめた。そのカラカラと音がなりながら回り始めた風車に目がすーっと引き込まれる。
その風車の下に『まゆみちゃん』と文字が見えて一瞬にして背筋に寒気がもどった。
その後直ぐに走りだして、下の道路まで逃げてきた。山から抜け出しアスファルトの道路をみて安心を取り戻した。
息を整えて全員で一番近いAの家に向かおうと決めて、道路沿いを歩き始めた。
時間は夜中の2時で辺りはかなり静かで車も通ってない。
のにも関わらず、
反対側の霊園の歩道を俺らとは反対に向かってくる人影を見てビクっとし再度走り始めた。
その歩いてる人影をはっきり見たわけではないけど何故か女の子の様な錯覚をした為
鳥肌がざわざわと立ち「見るな、見るな」と怖さから呟きながら逃げた。