[納屋の幽霊]

俺が厨房のころ、親の都合で引っ越したんだが、そこで引越し先の
家を建てる間、応急で同敷地内の土塗り壁の納屋を改造して生活していた
そこに住んで3週間目、弟が夜、白くて薄く光る幽霊を見たと言ってきた
それは、みんなが寝ている部屋の真ん中を横切るように空中を歩いて?
階段の方へと消えていったとのことだった
俺は最初はまったく信用していなかったが、それから1週間後、
夜、家族はすでに寝ていて、俺はトイレに行ってから寝ることにした。
たぶん1時くらいだと思う。
用をたしていると、突然トイレのドアノブをガチャガチャ回す音がした
驚いたが、家族のだれかだと思い、『使ってるよ〜』と言った
すると、音は止まったが、妙な感じがした
まったく人の気配がしないのだ。というより、2Fで他の家族全員が
さっき寝ていたはずだから、降りて来たなら階段を降りる音がするはず・・(古い納屋なので)
たぶん勘違いか、弟の悪戯と思うようにしてトイレを出ようとした瞬間!
またドアノブが回った!俺はすかさずドアを開けた!!が、誰もいない!!
エェェと思ったが、冷静を装い、そっと階段を上った。
そこでは家蔵全員が寝て静まりかえっていた。

俺はそのまま布団に入り、頭の中で家族以外の可能性を考えていた
・・・が、人間であるかぎり、あのタイミングでドアを開けたら
絶対に見えていないとおかしい。家族を起こすのも変なので
そのまま寝ることにした。
すると、なにか音がする。今は布団の中にもぐりこんでいたので
そっと頭を出して聞き耳をたてた。すると、さっきのトイレのドアノブを
誰かが回しているガチャガチャという音だった
もちろん確認する気になれなかったので、そのまま固まっていた
すると音がやんだ。なぜかホッとしたが、次の瞬間階段を上がってくる
音がしだした。1歩上がるのに2秒というゆっくりとしたペースだ

とっさに親を起こそうとしたが体が動かない。目だけは自由に動かせる状態に
なっていた。見たくはないが、逆に恐ろしくて目をそらしたくなかった
(そらした瞬間に横にいたらとか思っていたんだと思う)
音は、1歩、また1歩と上がってくる。そしてとうとう1番上まで上りきったようで
音がやんだ。部屋の間取り的には、階段を上ると目隠しのベニヤ板が1枚あるだけで
2歩で(扉はない)この部屋に入れることになる
しーんと静まりかえっている。自分の心臓の音が聞こえてきそうだった
そして、その心臓の音を板の向こうにいる奴に聞かれて気づかれるのでは!?
と恐怖していた。体は動かない。目だけで板を凝視していた
なにも来るなと願ったが・・・無駄だった
部屋を照らす唯一の豆電球に照らされて着物を着た子供がスーと出てきた
歩いてはいない。立った状態で手をこちら向きにに斜め下に垂らすようにして
そのままの形で空中をゆっくりと移動している

続く