[Q君のこと]
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教室にはQ君と、筆を持った男子2人だけになっていました。
他の男子は逃げてしまったようです。
2人の男子は立ち上がろうとしてわめいているようですが
Q君は凄い形相で2人を睨みつけて座らせようとしてました。
その様子を私とSちゃんはあっけにとられてみていました。

その時、突然私の耳元で
「おい。お前らも逃げろ!!見つかったぞ!!」
と声がしました。
「え。誰?え?」と私。
「え。聞こえた?誰?男子?え?」とSちゃん。
私たちはお互いの顔見合わせました。
もちろん、近くに男子はいません。
「おい!!逃げろつってんだろ!!!走れ!!!」
また聞こえました。今度はずっとはっきり聞こえました。
「え?Q君」私は思わず言いました。
Sちゃんは、私の手を取って立ち上がりました。
「早く!!逃げるよ!!」
「う、うん」
教室を見ると、Q君が私の方を見ました。
凄く大きな目ではっきりと私を見ました。
私は二三度うんうんと思いっきり頷いて走り出しました。

私とSちゃんは校門まで全力で走りました。
しばらくすると、校舎の方から
Q君と一緒にいた2人の男子が
わ〜〜わ〜〜!!と叫びながら飛び出してきました。
Sちゃんが、そのうちの1人を捕まえて
「どうしたの?何があったの?」と聞きました。
男子は「わっかんねえ。まじ」「しゃれんなんねえよ。やり過ぎだよ」
「Qのやつ.マジだよ。俺、あんなん初めて見た」
とわけの分からない事ばかり言って逃げようとします。
ちょっと「Q君は?」
「あいつ教室にいんじゃね。
 なんか、俺らのこと、怒鳴りつけてたりして
 離そうとしねえんだ。なんだか良く分かんねえけど。突然、
 もう良いぞ。お前らも逃げろ!!
 つって解放してくれた。」
男子はだんだん落ち着いてきた様子で、話してくれました。

「あのさ、これからQ君とこ行くよ」とSちゃん。
「アホか」男子は手を分と振ってSちゃんを突き放しました。
「お前ら行かねえ方が良いぞ。まじ、シャレん何ねえ」
そう言って、男子は走っていきました。

「どうしよう」と私。
「行くに決まってるんでしょ」とSちゃん。
「うん」
私たちはQ君がいる教室に向かいました。

教室にはQ君が一人残っていました。
1人で机を片付けていました。
私たちに気がつくと「おっす」と手を挙げてくれました。
「あ、あのさ」
「何だよ。部屋の片付け手伝えよ」
「分かった」
三人で部屋を片付けました。
「さっきまで大変だったんだぜ」
「そうなの?」
「机とかめちゃくちゃでさ。ま、しょうがねえな」

「あのさ」
「なんだよ」
「ありがとう」
「なんだ。それ」
そこにSちゃんが割って入りました。
「あ、これ、とっくりじゃない。何か入ってる」
「酒だよ酒。昨日の夜、神社に置いておいたんだ」
「え、なんで」とSちゃん。
「礼儀だろ。コックリさんの礼儀」
「なにそれ?」
「知らねえの?」
「知らない」
それを聞いてQ君は、危ねえ、危ねえと言いました。
「俺よりお前らの方がよっぽど危ねえことしてるって」
「何を」
「おい」とQ君が真剣な顔をしました。
「もう、やらねえ方が良いぞ。コックリさん」
その言い方を聞いて私はゾッとしました。
Sちゃんも顔をこわばらせました。
「わかった。ごめん」とSちゃん
「ごめんね。Q君」と私。
「なんだそれ。なんであやまんだ?」

私たち三人は教室を片付け終えて、帰宅する事にしました。
「さっき、私たち、外から見てたんだけど」Sちゃん。
「あ、気付いてたよ。まさかそっちまで行くとは思わなかったんで
 マジビビった。」
「何が?何が私たちの方に来たの?」と私
それを聞いてQ君は笑いました。
「知らない方が良い事もあるって」
「気になるよ」とSちゃん。「そうだよ、そうだよ」と私。
「ホントの事言うと、俺も分からねえんだ」
私はちょっと考えて言いました。
「その分かんないのってどうしたの?」
「ここに来んな!!って怒鳴ってやった」
「何それ?」とSちゃん
「だから。二度と来んな!!って怒鳴った」
ふ〜んそうなんだあ。
みたいな感じで、最後にバイバイをして分かれました。

その後、私とSちゃんとQ君は結構仲良しになって
いろいろ話をしたり、中学ぐらいまで遊んでいました。
とにかく正直に言うとQ君はカッコ良かった。
私とSちゃんは別々に告白しましたが、
2人ともきっぱりと振られてしまいました。
良い思い出です。


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