[茂みの中]

消防の頃空き地で遊んでた時の話
蹴ってたサッカーボールが茂みに飛込んじゃってしようがないから
草をかきわけて捜してたら2メートルぐらい先にボールみたいな
物体が見えて、何だと思ってよく見てみたらどうも人の後頭部みたい
なんだよね。黒髪がびっしり生えて綺麗に撫でつけてあって。
その下に寝そべった身体があるわけでもなく、まさか地中に埋まってる
とも思えない。怖くなった俺は友達の所へ逃げ戻りたかったが
音を立てたら気付かれると思って動くに動けないでいた。
そのまま1分ぐらいじっと立ってたら、突然友達の一人が
「見つかったかー」
と叫びやがった。
(やばい)
と思った瞬間向こうを向いていた首がまるで回転台に乗ってるかのように
ぐるんとこっちを向いた。顔が見えた。のっぺりした生白いまるで
スケキヨのマスクみたいな顔だった。それを俺が認識した直後、
首が動いた。ズザザザとヘビみたいに蛇行して進んで来たのだ。
「わーーーーっ」
俺は悲鳴を挙げて逃げた。必死に友達の所へ駆け戻った。
てっきりそいつらも逃げ出すかと思ったらつっ立ってこっちを
見てるだけ。で、俺も思わずそこで立ち止まった。するとふくらはぎに
何かがぶつかって、
「うわあっ」
飛び上がって尻餅をついてしまった。後ろにはサッカーボールが
転がっていた。皆が笑っている。俺は訳が判らず
友達の一人に聞いてみると突然俺が走って来てすぐ後ろから
サッカーボールが転がって来ていたそうだ。まるで誰かが蹴った
かのように茂みから飛び出してきたと……。
その後も空き地で遊んだが茂みにボールが入ったりした時は
一人で捜しに行くことは止めた。


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