[緑の人]
今付き合っている人から聞いた実話。 
        
        
彼が小学五年の時、夜中にいきなりトイレに行きたくなった。 
暗い中行くのは怖かったそうだが、仕方なくさっさと行く事に。 
トイレは何もなかったのだが、異変は自室のベッドに戻る時に起こった。 
少し開いた自室のドア。そこから緑色の発光が漏れている。 
恐怖と好奇心にドキドキしながら、彼は中をそっと除いた。 
すると、そこには緑色の光をぼんやり発する首のない人らしき物が立っている。 
人らしきと言ったのは、それの体形は人間と同じような形だったのに対し、 
全身がまるでスライムのようにのっぺりして緑一色だったからだそうだ。 
そんな化け物か幽霊か分からない物が、彼のベッドの前でじっと佇んでいる。 
私は話を聞いていて、てっきり逃げたと思っていたが、実際は違った。 
驚いた事に彼は部屋のドアを乱暴に開け、それの横をすり抜けてベッドまで走り、 
そのまま布団の中に潜り込んで眠ったらしい。 
最初は布団の中からでもビシビシ感じるそれの視線で寝れなかったが、 
(首はないはずなのにと未だに不思議らしい)その内疲れて寝たとそうだ。 
翌朝、それは消えていた。 
そしてその後、それが彼の前に現れる事は二度となかった。