[蝉]
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初めは聞き間違いだと思ってたし、だけどその一言がかなり怖くてブルッってなった。
でも口に出して言うと恐怖にどっぷりと使ってしまいそうで何も言えない。。
もう聞きたく無いと思って耳を手で塞ぐけど蝉の鳴き声が聞こえる。
「ミーーンミーン・・ジーージーーー・・ミケタ・・・ジーーーン・・ギーーーオ」
お願いだから、聞き間違いだってのはわかってるから。考えないようにしよ。と心の中で自分に言い聞かせるけど蝉の声が聞こえる。
「ジーー・・ジーーー・・ギーーオォ・・・ギャハア・・ミケタ・・」
その時に笑い声が増えている事に気付いた。。もう聞き間違いじゃないと思って恐怖で夏の暑い時期にも関わらず毛布を頭から被った。
さらに横にいた友人が泣き始めた。。それに釣られて他の子も泣き始めて、「あー、私だけじゃなくて他の人にも聞こえてるんだ」と
震えながら思った。その時に先程蝉の鳴き声の事を口に出した友人が「ミケタて何?」と小声で囁いた。
その囁きさえ怖くてヒッっと小さな叫び声を上げて泣き始めてる人もいた。
全員が聞こえてると理解した時に皆少しづつ中心に集まってきて寄り添うようになり、いつの間にか横の人と手をつないでた。
蝉の鳴き声は一向にやまず寧ろ大きくなったような感じさえした。
「ジジジ・・ジ・・ミケタ・・ミケタ・・・ミーーンミンミーン」と蝉の声に混じり変な声が鮮明になってきた。
その時
小道にある電灯で照らされて人影がテントの中に映った。先生かな?って思ったけど人影の髪の毛がかなり長い、ように見える。
テントの中にまで影がはっきりと見えるわけじゃないんだけど、女の人が歩いてるようにしか見えない。しかも横歩きのような
後ろ歩きのような変な感じの歩き方のシルエットがテントの中に映るもんだから恐怖でカタカタ震えだしてしまいました。
カタカタ震えたりグスンと泣いたりしてるとテントの上から
ボトッ
と言う音が。「ジーー、ジー」と蝉が落ちてきた。。その瞬間に又テント内の人間全員がビクッ!ってなったけど、
それ以上にそとを歩いていた人影がこっちのテントを向きなおった感じがした事に意識が奪われた。。
その最中も蝉の鳴き声は聞こえ続けてるし変な声も混じってる。
でもその瞬間だけは違った。
「ミケタ」では無く「ミツケタ」
とはっきり、鮮明に、耳元で囁かれたかの様に聞こえた。「ハーハ、ウップ、ハー、ミツケター」
とゲップの様なものをしながら囁いてくる。皆、恐怖でガクガクになっててその時には気付かなかったけど(後で聞いた話では)
一番テントの入り口に近かった友人は失神してしまっていた。
続く