[S家]
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三番目

中学を卒業し、それぞれが別の高校に進学してからも何となく習慣的に集まったりしてたんだけど、ある時Sがこんな話をしてくれた。

Sの通う高校の同級生数人が家に来た時の事。
その中の女の子の一人が霊感が強い子だったらしく、「この家は霊の通り道の上に建っている。」という様な事を言っていたそうだ。
それで2〜3日後に神社のお札みたいな物を持ってきてくれたそうで、そのお札が部屋に置いてあった。

しばらく経って、Sにあった時の事。
すごく疲れた顔をしていたので「どうした?ゲームのやり過ぎ?www」と聞いたら、なんでも最近金縛りが酷くなったと言う。
しかも、「その時に見知らぬおばあさんや子供が部屋の中をウロウロして眠れない。」と言う。
部屋に行ってみるとお札の数が増えていた。

それから更に経って家に遊びに行くと、Sが所属してる美術サークルだかなんだかの人が数人家に来た時、その内の一人が部屋のお札を見て「お札の置き方が間違っている。これでは除けるのではなく入って来たモノが出て行かない。」と叱られたそうだ。
その人の言う通りにお札を適切に置いた所、金縛りの回数が激減した。という事だった。

ただ、それまでの間も友人と泊まったりしていたんだけど、その時にはたまに部屋の天井だか柱がバキッと家鳴りの音をたてるくらいで大した事も起きなかった。
そんな感じなので、俺達はなんとなく「そうなんだー。そんな事もあるんだ。」くらいにしか思っていなかった。

でも、俺達もついにSの家で怖い思いをすることになった。

四番目

高校も卒業間近で、皆以前ほど頻繁にSの家に出入りする事はなくなっていた。
年が明けた1月の9日くらいだったと記憶してるんだけど、久しぶりに集まって新年会でもしようという事になった。
Sが両親と弟が田舎に帰っていないと言うので、じゃあSの家に集まって鍋でもしようという事になった。
それぞれ思い思いの材料を調達し、夕方くらいにSの家に集まった。
Sの部屋にこたつを二つ並べて卓上コンロを置き、鍋の準備を始めた。
夜になって鍋も出来上がった。
新年でめでたいという事もありビールや酎ハイ(お酒は20歳になってから)で乾杯して鍋をつつき始めた。
そこからはしばらく鍋をつつきながらとりとめなく話をしていた。

鍋も終わり夜も更けていき、酒を飲みながら話をしていたら何となく話題がこの家に「出る」という流れになった。
しばらくは中学生の頃あった(一番目の話)事とか他にSが体験した事とかを話していた。
そのうち酒の力も手伝ったのか話は盛り上がり、段々と「怖い話」大会になっていった。
そのころには夜中の3時か4時くらいになっていたけど皆のテンションは高く、それぞれが聞いた話やテレビで見た話などをワイワイとしていた。
続く