[死に神にキレる]
ここでおはなしを一つ。わたしのオカンの住まいの近くに、荒れまくった廃屋があります。長年「売家」と貼ってあるけど、ガラスは割れ、蔦は絡まり、とてもじゃないが売れる可能性がゼロに等しいものです。 
そこの前に、勘の鋭いオカンは、人影を見るようになりました。 
単なる不成仏霊だろう、と華麗にスルーしていたわけですが、ある日を境に、その姿がだんだん濃くなっていったといいます。 
(?おじいちゃんが、シルクハットにコート?紳士だなあ…) 
なんて思う格好だったとか。 
しかしオカンはなんだか身体の調子が悪くなり、あちこちに痛みを覚えるようになりました。 
そして、その夜、ふと通りがかると、おじいさんはオカンのほうへ振り向きました。 
その顔は、骸骨…。 
(死神じゃねーかこいつ!)オカンは慌てて帰り、しばらくガクブルしたそうです。 
それからオカン、病院へ通い、病気治療を行い、まだもそこに居座る死神にこう言ったそうです。 
        
「馬鹿野郎!のぼせんな!あんだけ掛け金払っといて、年金受け取り一円もなしのまま死なせるってどういう話じゃボケ!頃すぞ!」 
        
と悪態をついたら、もう死神が現れることがなくなったそうです。